お線香の数

線香の数

お仏壇、お墓なとでお線香を上げる時に、人によって上げる本数が違いますが、何本上げたら良いのでしょうか。

線香とは

線香

線香とは香としての成分を細かくして練り合わせ、細い棒状にして乾燥させたもので、火を付けて出るで空間の浄化をしたり、香りを供物として捧げるためのもの。

線香の形

渦巻き線香

線香の形は棒状と渦巻き状があり、仏壇或いはお墓参り用として一般的に普及しているのは棒状の線香です。

棒状の線香はある程度まとまった数を棒のような形にして紙で束ねているタイプとバラで箱に入ったタイプがあり、束ねた線香はお墓参りの時に使われることが多く、箱に入ったタイプの線香は仏壇で使われることが多いです。

渦巻き状の線香は棒状の線香よりも長く燃焼させることほ目的として作られていて、通夜などの線香を絶やしてはいけないとされる場で使われます。

香の種類

線香の香りは原材料によって違い、タブ、白檀、スギ、沈香、ヨモギ、ショウブ、バラの花、ラベンダーなどが利用されています。

白檀や沈香などは昔から高級な香として利用され、贈答用などに使われています。

お墓参りの時によく使われる緑色で煙がたくさん出る線香は杉の葉を乾燥粉末にしたもので作られていて、比較的安価で煙が良く出ることから、屋外での使用に適しています。

また寺院の参道にある大きな香炉で参拝の人が供える線香の煙を浴びるような時の線香も杉の葉の粉末で出来た線香です。

線香の目的

線香の目的

お香というものは焚けば良い香りがしますので、インドでは古来より来客用の接待として、或いは神仏への供物として利用されてきました。

また精神的な作用があることから医学的に利用され、沈香は漢方の生薬として利用されてきた歴史があるのです。

お香にはリラックスの効果が現代でもアロマテラピーとして多くの人に利用され、生活の中の癒しを作り出しています。

香の香りは天に昇っていくことから天に対する供養として、そして線香の煙が一本の筋となって立ち上る様がこの世の世界と天の世界をつなぐ糸のような役割を果たしていることから、神仏や先祖と私達をつなぐ架け橋として利用されているのです。

仏教と香

仏教では香を焚くことで不浄を払い、雰囲気を清浄にすると共に神仏への供物あるいは荘厳として利用されています。

寺院では朝の勤行の時や法要の時などには必ず灯明と線香、香は欠かせません。

現代では仏壇に手を合わせる時に必ず線香とロウソクを灯すことから、ある意味先祖供養の消耗品でもあるのです。

通夜や葬式の時に不祝儀袋に書く「御香料」や「御香典」などはいずれも「香」に関することですが、お香をお供えする代わりにお金を包むことであり、お香は供物としての定番なのです。

線香の本数

線香の本数

仏壇に手を合わせる時にお線香とロウソクは欠かせませんが、お線香は何本上げますか?

ロウソク立てには1本のロウソクしか立てることが出来ませんので、ロウソク立てが2本あれば2本のロウソクを灯しますが、線香を立てる香炉には線香を何本灯したらよいかと聞かれたら、正しく答えることが出来る人は少ないと思います。

結論から言いますと、線香の本数についてはインターネット上でも1本、2本、3本などの諸説があり、決まりごとが無いようですが、3本が最も無難な数のようで、場合によっては1本の時があります。

お通夜とお葬式~四十九日は1本

お通夜とお葬式から四十九日までの間はお線香の数は一本とされていますが、亡き人に対してこの世とあの世をつなぐ橋を作るためだと言われています。

死者の枕元に供える「一膳飯」(いちぜんめし)は山もりのご飯に箸を挿して立てますが、これもこの世とあの世の橋渡しという意味があるのです。

四十九日は死者が三途の川を渡りきって死者の国である彼岸に到着する時なので、この時を過ぎれば死者はあの世の世界にたどり着いたという事になりますので、四十九日までは線香が一本なのです。

宗派による本数

宗旨宗派による考え方の違いもありますが、基本的に

  • 天台宗…3本
  • 真言宗…3本
  • 浄土宗…1本
  • 曹洞宗…1本
  • 臨済宗…1本
  • 日蓮宗…1本

浄土真宗本願寺派と真宗大谷派は、適当な長さに折って横向きに寝かせますので、香炉の形も違います。

真言宗では

大日如来

真言宗ではお線香の数は3本とされ、身と口と心(身・口・意)の三業を浄化して、大日如来三密(身密・口密・意密)に同化するためだと言われています。

私達は全ての行いの原因である体と口と心の行いを浄化して霊性を高める修行をすれば、大日如来と一体化できる即身成仏に近づくことが出来るのです。

真言宗では仏堂の堂内に入る時や写経などの修行をする時に必ず手に塗って体に付ける塗香(ずこう)で身を浄めますが、まず最初に自らを浄め、神聖なる仏堂に入ることを意識して、線香を上げるにしても、身口意のそれぞれを浄めることを念じることから既に修行が始まっているのです。

御自分の家では灯明と線香を上げて勤行をすれば心が安定します。

光明真言を唱えるだけでも効果がありますので試してみて下さい。

結論として

お線香でも高級線香と家庭用の徳用線香とでは、値段も違えば香りが全く違います。

場合によっては小さな1箱で1万円を超えるような高級線香もありますが、そのような高級線香を一回でも使えば、家庭用の線香などは臭いと感じるようにもなるのです。

しかし私の所には頂き物のお線香が山のようにあり、贅沢なことを言っている場合ではありませんし、毎日の勤行で大量の線香を使うのですから、これらの線香を自分で買うことを思えば、頂き物があるという事は実に有難いことなのです。

私が実際に使う時には堂内では少し高めの線香を1つの香炉につき3本ずつ使い、屋外での不動明王様と毘沙門様には煙が大量に出るお墓参り用の線香を一握りまとめて火を付けます。

たまにある超高級線香は堂内で一本だけ灯します。

懐事情に応じて本数は調整すれば良いと思います。

また線香という物は長いこと使えば部屋に香りが付いてしまいますので、線香を焚いていない時でも部屋に入れば匂いが残っているものです。

安物の線香ばかり使っていたら部屋の中でお墓参りの匂いがするものです。

そういう意味では少しでも良い香りのする線香を少なめに使えば良いと思います。