享年とは

享年のイラスト

享年とは死亡時の年齢を表し、天から享けた年数のことで、生きた年数ということになります。

享年と行年

享年は天から享けた年数のことで、行年はこの世で修行した年数になります。

享年も行年も死亡時の年齢を表しますが、葬儀の時や位牌に刻まれる時に故人の死亡時の年齢を表すために使われます。

数え年

仏教では母親の胎内に宿った時を命の誕生としますので、生まれてきた時には既に1歳になっているのです。

仏教の命の捉え方としては母親の胎内に宿った瞬間ですから、輪廻転生でも次の転生先を探している魂が、生物の体内に宿った瞬間に入ることが出来た時に、新たな転生先の命が始まったとされるのです。

数え年の考え方は、十月十日(とつきとおか)の間、母親の胎内に宿るとされますので、生まれた時が1歳であり、満年齢に対して誕生日が来ていなければ2歳上になり、誕生日が来ていれば1歳上になります。

葬儀の時や位牌に刻まれる時には享年或いは行年ということになり、数え年の年齢が使われます。

位牌を作る時

位牌を作る時

位牌を作る時に悩むのは享年にするべきか行年にするべきか、そして年齢を満年齢にするか数え年にするかです。

実際にどのような表記にするのかは、個々の寺院の判断に委ねられていますので、全国的に統一された規則というものがありませんから、どちらでも良いという結論になってしまいます。

亡くなった年齢というものは少しでも多い方が天寿を全うしたと思われることから、昔から数え年が使われるようです。

お墓や位牌に刻まれて後世に残ることからも数え年を使って少しでも多めにしているようです。

やすらか庵には戒名授与して位牌作成する企画があり、故人様の年齢を表すのに「享年」を使用していますが、お申し込みフォームには可能であれば数え年を記載して下さい。

もちろん満年齢でも構いません。

どちらでも間違いではないのです。

天から与えられたもの

チューダ・パンタカ

享年は天から享けた歳のことで、短い人も居れば長い人も居て、不公平なように思いますが、ある意味命が長く不幸な人よりも命が短く幸せな人の方が有意義な人生を送ったと言えるのかもしれません。

仏教では人と比べて優劣を競う事は止めて自分に与えられたものを大切にしなさいと説きます。

周利槃特(チューダ・パンタカ、しゅりはんどく)は釈迦十大弟子の中でも「仏説阿弥陀経」に7番目に出てくる、記憶力が大変に悪く、勉強が出来なかった弟子として有名ですが、先に釈迦の弟子になった兄のマハー・パンタカのすすめで弟子入りした弟のチューダ・パンタカは四か月を過ぎても一つの句さえも覚えることが出来なかったそうで、自分の無能さを恥じたチューダ・パンタカはやがて教団を去ろうと釈迦に相談します。

釈迦は「自分を愚かだと知っている者は愚かではない。自分を賢いと思い上がっている者こそ、本当の愚か者である」と説き、彼に一枚の布(または箒)を与えて、「塵を除く、垢を除く」と唱えさせて精舎を掃除することを教えました。

以後チューダ・パンタカは釈迦のこの教えを守りただひたすらに掃除を続けて、やがて悟りを得て阿羅漢果(あらかんか=六道を脱した涅槃の世界)に到達したそうです。

私達は天から与えられたものを感謝の気持ちで受け取り、大切にすることで有意義な人生を送ることが出来るのです。