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六波羅蜜とは
六波羅蜜とは大乗仏教に於ける六つの修行法で、菩薩が仏になるために必要な徳になり、私達の日常生活の中でも実践できる仏道の修行法です。
波羅蜜の意味
波羅蜜とはパーリ語では Pāramī( パーラミー)、サンスクリット語では पारमिता、Pāramitā( パーラミター)となり、般若心経では「般若波羅蜜多」という言葉が多く含まれていますが、意味としては
- 波羅…梵語では「パーラ」、「彼岸」つまり悟りの境地のこと
- 蜜多…梵語では「ミター」、「渡る」こと
であり、「彼岸に到達する」ことを意味し、彼岸とは悟りの世界ですので、菩薩が悟りに到達して如来になるための修行であり、獲得した徳ということにもなるのです。
六波羅蜜の内容
六波羅蜜には六項目の修行法が説かれています。
布施波羅蜜
布施波羅蜜は施すことです。
余っている物を分け与えることではありません。
お金や物などの形ある物を施すのは「財施」と言いますが、行為や行動、心遣いなどの形なき布施は、法の施しである「法施」、体を使って手伝う「身施」などがあります。
布施は物や心について、或いは差し出す方も受け取る方も全てが清らかであることが大切で、見返りを期待したり、人から奪った物を差し出したりしてはいけません。
持戒波羅蜜
在家の場合は五戒(もしくは八戒)を、出家の場合は律に規定された禁戒を守ることです。
忍辱波羅蜜
忍辱波羅蜜とは耐え忍ぶことです。
仏教に於いては戒律を守ったり修行したりすることが嫌になっても、その先の安楽の境地を目指して我慢すること、煩悩の誘惑があっても忍ぶことです。
精進波羅蜜
精進波羅蜜とはひたむきな気持ちで努力することです。
仏教に於いては上を目指して修行することです。
禅定波羅蜜
禅定波羅蜜とは心を静めることです。
座禅、瞑想のことで、特定の対象に心を集中して、散乱する心を安定させること。
般若波羅蜜
般若(智慧)波羅蜜とは正しい智慧のことです。
全ての事物や道理を見抜く深い智慧のことで、慧波羅蜜とも呼ばれ、十波羅蜜の智波羅蜜とは区別されます。
六波羅蜜の実践
六波羅蜜は菩薩の修行法ですから全てを実践するのは難しいことですが、私達の日常生活にも是非とも生かしたい実践法です。
まずは正しく理解
例えば寺院で祈願や法要をしてもらった時の「お布施」は「布施波羅蜜」ですが、本来であれば寺院のご本尊様のためにお使いください、ということで差し出すものですから当然、「定価○○円」という基準ではなくて、今の自分に出せるだけの最大のものをお包みして差し出すものです。
「お布施」は「布を施す」という文字の通りで、昔は布を施すことであり、布はとても貴重で高価なものだったのです。
寺院の僧侶に対して、衣などに仕立てるべく布を施すのが布施だったのです。
お布施を出す人は精一杯のことをして、受け取る方も気持ちよく受け取ることが大原則なのです。
しかし「お布施」の金額が決まっていないことを良いことに、「これでは少ない、もっと出せ」という傲慢な僧侶や、高級車に乗りつけながらも10円が入ったのし袋を差し出す檀家が居ることで、お布施に関するトラブルが多く、そこに目を付けた大手業者が定額のお布施で僧侶の派遣サービスを始めましたが、結構利用者が多いようです。
布施は特に困った人に対しての施しは有効です。
寺院や僧侶に対しては、御本尊を利用して金儲けしている寺院よりも、御本尊様のためにただひたすらに精進している寺院に対する布施は有効です。
困った人を見て見ぬふりしたり、ますます苦しめる僧侶よりも、困った方の救済をしている僧侶に対する布施は有効です。