三毒について
三毒とは仏教に於いて人間が克服すべき根本的な煩悩のことで貪瞋痴(とんじんち)の三つを言い、正しい心を壊してしまって悪に堕ちてしまうので「毒」という言い方をしています。
貪瞋痴について
「貪」は貪(むさぼ)りの心で人よりもたくさん欲しい、人の物でも欲しいという気持ちのことで、欲しいという気持ちに支配されて人を傷つけても気が付かない程になってしまいます。
「瞋」は怒(いか)りの心で、絶対に許せない、仕返しをしてやるという気持ちのことで、怒りの気持ちに支配されて、他人に対して攻撃的になってしまい、小さなことでは喧嘩に、大きいことでは戦争になってしまいます。
「痴」は無智のこと、真実を知らない心、真実を知ろうとしない心で、いい加減な情報や嘘、デマなどの情報に振り回されて正しい判断が出来ない状態のことです。
動物に喩えられます
三毒の貪瞋痴はそれぞれ鶏、蛇、豚の動物に喩えられます。
貪は鶏
欲しい欲しいと何時までも貪る心は鶏に喩えられます。
鶏は常に餌を求めてついばむので、その姿が貪りの象徴として捉えられているようです。
瞋は蛇
怒りや妬みの心は蛇に喩えられます。
蛇は怒りや妬みの象徴として捉えられ「蛇女」は恨みの相手を絞め殺す恐ろしい妖怪です。
蛇は毒を持ち、静かに近寄ってきて相手を締め上げることや細長い舌をペロペロと出す仕草、体温の無い冷たい動物であることから怒りや妬みの象徴とされます。
痴は豚
痴は何も考えることなく日々を過ごすことで豚に喩えられます。
豚は大きな動物であるにも関わらず、食べて寝るの毎日で、何も考えずに過ごすことから愚かな動物とされます。
貪りの心
私達の周りには良く見てみますとたくさんの貪る人が居ることに気が付きます
- バイキングで食べきれない程の食べ物を持ってきて残す
- 災害の時にいち早くスーパーに行き食料品を買い占める
- 冷蔵庫に食料品をたくさん詰め込んで使いきれずに捨てる
- たくさんあっても人に差し上げることなく腐らせる
貪ることは食べ物をガツガツと食べるだけではなくて、暴利を貪る、睡眠を貪るなどのように、飽きることなく続けることを言います。
貪る人の行き先は餓鬼道しかありません。
もっと詳しく…貪りの心「貪」とは
餓鬼道に堕ちたら常に空腹の状態となり、餓鬼同士で食べ物の争いをしますし、何時まで経っても決して満足することがありませんので、苦しみの連続であり、朝から晩まで食べ物を探して回り、空腹で眠ることも出来ず、やっと見つけた食べ物でも、たべようとしたら火となって燃え盛るのです。
怒りの心
怒りの感情は仏教的には煩悩であり、消しても消しても次々と湧いてくるものです。
- 相手が気に入らないことをした
- 悪口を言われた
- 暴力を振るわれた
- 嘘をつかれた
- 騙された
- 自分を低く見られた
- 物を盗られた、壊された
など私達の身の回りには怒りの材料はいくらでもあるもので、職場に居ても上司の態度が気に入らない、学校に居ても友達からいじめられるなど、私達の常にストレスになるように怒りの感情を持ち合わせているのです。
もっと詳しく…怒りの心「瞋」とは
無智の心
無智とは真実を知らない事や知ろうとしないことを言います。
私達が人間として生まれてきたのは魂を向上させるという使命があり、それは他の人のためでもあり、自分のためでもあって、仏教には魂を向上させるための道筋が示されているのですが、私達が生まれ持つ欲望の誘惑に負けて、怠けたりダラダラと無意味な時間を使ったりしているのです。
私達は正しい法則を知れば善い生き方が出来て、平和な社会になるのです。
まずは自分が始めないと始まりません。
欲望を味わう喜びよりも、真の意味での幸せの喜びの方が大きいことを知るべきです。