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焼香とは
焼香とは仏教に於いて香を焚くことで、神仏や死者に対して香を焚いて拝む作法のこと。
香の歴史
古代インドでは香木の有名な産地であり、熱帯の気候で物が腐りやすく悪臭が多いなどの理由で香を焚いて和らげることが行われてきました。
またカレーに使うスパイスも多く、香りを食に応用したり、香を焚いたり、体に塗ったりする利用法が今でも幅広く行われています。
護摩を焚く時に使う供物などは線香、丸香、散香などの各種の香が使われますが、浄めと神仏への供物と言う役割があります。
柴燈護摩は屋外で焚く護摩ですが、屋内で焚く護摩と同じように香を焚き、供物を供えることで神仏をもてなし、お焚き上げ供養は屋外で焚く護摩の一種ですが、物に宿った魂や神仏を天にお還しするために香を焚きます。
何時、何処で焼香しますか?
焼香は仏式のお葬式や通夜、法事の時に行われることが多く、心と体の穢れを落とし、亡き人の供養のためにするものです。
香は良い香りを空間に満たすことにより、香りで穢れを落として、場の雰囲気を清浄にする効果があります。
また香の煙が真っすぐ立ち上って天に繋がることで、この世とあの世の橋渡しをするとも考えられているのです。
位牌が亡き人の魂の依り代として使われるように、香や灯明は魂を迎えるための灯りであり、魂に供える食べ物でもあるのです。
多くの人が参列する場に於いて一人一人がお線香を上げたらすぐに香炉がお線香で一杯になり、立てる場所が無くなってしまうことから、焼香は多くの人が参列しても対応出来るということからお葬式や通夜、法事の場に於いて使われるのです。
お葬式や通夜、法事の場に於いては専用の焼香台が設けられ、大きな会場の時には何台もの焼香台が横に並んでいることもあります。
焼香の種類と作法
焼香には宗旨宗派や地域による作法の違いがあります。
右手の親指・人差し指・中指の3本で抹香(まっこう)をつまんで目の高さまで持ち上げ、この動作を「おしいただく」といい言い、次に指をこすりながら香炉の炭の上にくべることが焼香の基本です。
一般的な作法としては
立礼焼香
椅子席が設けられている時に焼香台の前で立って焼香する方法
- 合掌、礼拝
- 右手の親指・人差し指・中指の3本で抹香(まっこう)をつまむ
- 抹香を香炉の炭の上にくべる
- 宗派ごとの作法に従い1回~3回繰り返す
- 合掌、礼拝
座礼焼香
畳の間で座布団に座る礼式の式場で焼香台の前に座って焼香する方法
- 合掌、礼拝
- 右手の親指・人差し指・中指の3本で抹香(まっこう)をつまむ
- 抹香を香炉の炭の上にくべる
- 宗派ごとの作法に従い1回~3回繰り返す
- 合掌、礼拝
回し焼香
畳の間で座布団に座る礼式の式場で焼香炉を順に回して焼香する方法
- 香炉が回ってきたら、軽く礼をして受け取る
- 香炉を自分の前に置いて合掌、礼拝
- 右手の親指・人差し指・中指の3本で抹香(まっこう)をつまむ
- 抹香を香炉の炭の上にくべる
- 宗派ごとの作法に従い1回~3回繰り返す
- 合掌、礼拝
焼香の回数
右手の親指・人差し指・中指の3本で抹香(まっこう)をつまんで目の高さまで持ち上げ、この動作を「おしいただく」といい言い、次に指をこすりながら香炉の炭の上にくべることが焼香の基本ですが、この一連の動作を何回するかについては絶対的な決まりがありません。
宗派ごとの焼香回数
宗派ごとの回数の目安としては
前の人の真似をする
日本人は「右へならえ」の法則に強く影響され、私達の集団心理というものは、前の人のすることを見て同じようにすれば間違いないと考えます。
私達は皆が同じことをするということで安心する民族ですから、焼香の時には
- 前の人の動作をよく見ておく
- 自分の前の人と同じ回数する
そうすることで自分一人だけが間違うことは絶対にありませんし、たとえ間違いだとしてもある程度の数が揃っていれば同罪なのですから、自分一人だけが責められるようなことは無いのです。
しかしながらとても危険なこととして、自分の前の人がとんでもない行動をした時に、それを真似したら余計に恥ずかしいということです。
あくまでも常識的な回数として1回~3回という目安がありますので、それを考えた上で前の人、出来る事なら大多数の人の動作と同じにすることです。
それを思えば順番としては後ろの方の順番が好ましいのです。
自分の回数で構わない
どうしても分からなかったら、或いは自分の順番が最初だったら、自分がいつも行っている方法で構いません。
焼香とは亡き人にお香を手向け、場を浄めることですから、本来は回数にこだわるべきではないと思います。
特に葬儀での作法は葬儀社などが特集を組んで注目を浴びようとし、或いは地方に於いて年配者が座る席順など口論になったりしますが、確かにマナーというものがあるにしても、マナーにこだわるあまり亡き人をお送りするという本来の目的を忘れてしまって時には参列者同士でもめ事になったりするのは感心しません。
回数にこだわって意味のない焼香をするよりは、精一杯心を込めて亡き人に届きますようにと願いながらする焼香が最高の方法であると思います。