西国三十三観音霊場とは
西国三十三観音霊場は近畿地方2府4県と岐阜県にまたがるおよそ1300年の歴史ある観音信仰の霊場です。
三十三観音の由来
法華経の中にある「観世音菩薩普門品第二十五」には、観世音菩薩はあまねく衆生を救うために相手に応じて「仏身」「声聞身」「梵王身」などの33の姿に変身すると説かれていることが三十三観音の由来であり、三十三観音霊場巡りをすれば観音菩薩に救ってもらえるという信仰が続いているのです。
三十三観音霊場を参拝すれば一切の罪障が消滅して浄土に行けるとされます。
三十三観音とは
観音菩薩が民衆を救済するために変身した三十三の姿のことで、これらの観音が祀られた霊場を巡礼する三十三観音霊場巡りも盛んです。
- 楊柳(ようりゅう)
- 龍頭(りゅうず)
- 持経(じきょう)
- 円光(えんこう)
- 遊戯(ゆげ)
- 白衣(びゃくえ)
- 蓮臥(れんが)
- 滝見(たきみ)
- 施薬(せやく)
- 魚籃(ぎょらん)
- 徳王(とくおう)
- 水月(すいげつ)
- 一葉(いちよう)
- 青頚(しょうけい)
- 威徳(いとく)
- 延命(えんめい)
- 衆宝(しゅうほう)
- 岩戸(いわと)
- 能静(のうじょう)
- 阿耨(あのく)
- 阿摩提(あまだい)
- 葉衣(ようえ)
- 瑠璃(るり)
- 多羅尊(たらそん)
- 蛤蜊(こうり、はまぐり)
- 六時(ろくじ)
- 普悲(ふひ)
- 馬郎婦(めろうふ)
- 合掌(がっしょう)
- 一如(いちにょ)
- 不二(ふに)
- 持蓮(じれん)
- 灑水(しゃすい)
三十三観音霊場の概略
死後の安楽世界に思いを馳せながら生前の罪障を懺悔する旅をするという巡礼の文化は、観世音菩薩と言う修行中の菩薩の身でありながら補陀落浄土へと案内する役目を持つことで、衆生の不安を取り除き、修行を通して宗教の尊さを肌で感じることを私達に教えてくれます。
ご先祖様に会いたい、亡き人に会いたい、罪滅ぼしをしたい、肩の荷を下ろしたいなどの様々な思いや悩み苦しみを持った人達が今日もまた巡礼の旅に出るのです。
私達は自分の家に住んでいても遥かなる旅の途中であることに気が付かなければいけません。
永遠の旅の途中なのです。
せっかく仏法に巡り合ったのなら、活かさなければもったいないのです。
私達は今のような環境に生まれてくることは二度とありません。
自由があって修行が出来る環境があるのです。
自分探しの旅に出てみましょう。
経帷子や杖傘などの巡礼用品は棺桶に入る時の姿と同じです、巡礼というものは本来、旅の途中でいつ死んでも構わないようにと死出の衣装で歩くのです。
何もかも捨てて死んだと思って歩き出したら何かが見えてくるはずです。
三十三観音霊場
以下に西国三十三観音霊場の寺院と場所についての概略を示します、この中には番外寺院とお礼参りの寺院が含まれています。
- 1番 青岸渡寺 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町那智山8
- 2番 金剛宝寺 紀三井寺 和歌山市紀三井寺1201
- 3番 粉河寺 和歌山県紀ノ川市粉河2787
- 4番 施福寺 槇尾寺 大阪府和泉市槇尾山町136
- 5番 葛井寺 大阪府藤井寺市藤井寺1-16-21
- 6番 壺坂寺 南法華寺 奈良県高市郡高取町壺阪3
- 7番 岡寺 龍蓋寺 奈良県高市郡明日香村岡806
- 8番 長谷寺 奈良県桜井市初瀬731-1
- 番外 法起院 奈良県桜井市初瀬776
- 9番 興福寺南円堂 奈良市登大路町48
- 10番 三室戸寺 京都府宇治市菟道滋賀谷21
- 11番 上醍醐准胝堂 醍醐寺 京都市伏見区醍醐醍醐山1
- 12番 正法寺 岩間寺 滋賀県大津市石山内畑町82
- 13番 石山寺 滋賀県大津市石山寺1-1-1
- 14番 三井寺 園城寺 滋賀県大津市園城寺町246
- 番外 元慶寺 京都市山科区北花山河原町13
- 15番 今熊野観音寺 観音寺 京都市東山区泉涌寺山内町32
- 16番 清水寺 京都市東山区清水1-294
- 17番 六波羅蜜寺 京都市東山区五条大和大路上東入
- 18番 六角堂 頂法寺 京都市中京区六角東洞院西入堂之前248
- 19番 行願寺 革堂 京都市中京区寺町通竹屋町上る行願寺門前町17
- 20番 善峰寺 西山宮門跡 京都市西京区大原野小塩町1372
- 21番 穴太寺 京都府亀岡市曽我部町穴太東ノ辻46
- 22番 総持寺 大阪府茨木市総持寺1丁目6-1
- 23番 勝尾寺 大阪府箕面市粟生間谷2914-1
- 24番 中山寺 兵庫県宝塚市中山寺2丁目11-1
- 番外 花山院菩提寺 兵庫県三田市尼寺352
- 25番 播州清水寺 兵庫県加東市平木1194
- 26番 一乗寺 兵庫県加西市坂本町821-17
- 27番 圓教寺 兵庫県姫路市書写2968
- 28番 成相寺 京都府宮津市字成相寺339
- 29番 松尾寺 京都府舞鶴市字松尾532
- 30番 宝厳寺 滋賀県長浜市早崎町1664-1
- 31番 長命寺 滋賀県近江八幡市長命寺町157
- 32番 観音正寺 滋賀県近江八幡市安土町石寺2
- 33番 華厳寺 岐阜県揖斐郡揖斐川町谷汲徳積23
- お礼参り 善光寺 長野市元善町491
- お礼参り 金剛峯寺 和歌山県伊都郡高野町高野山132
- お礼参り 延暦寺 滋賀県大津市坂本本町4220
- お礼参り 東大寺 奈良市雑司町406-1
- お礼参り 四天王寺 大阪市天王寺区四天王寺1丁目11-18
観音信仰の功徳
観音菩薩には様々な変化身があることから仏像としての作例も多く、寺院では観音菩薩が本尊として祀られている事が多く、浄土信仰と併せて墓地や霊園にお祀りされることが多いものです。
また大きな観音菩薩像が建立されていることもあって、霊園などで身近な存在として見ているものです。
観音菩薩は死者の供養的な要素が強いですが、菩薩として様々な形に変身して私達を救ってくださるということから、日常的な礼拝の対象としても信仰され、私達の悩み苦しみを取り去ってくれるという功徳があります。