金剛鈴とは

金剛鈴の写真

密教の修法の時に諸尊を驚覚し歓喜させるためにならす鈴のこと。

先端の柄が五鈷・三鈷・独鈷・宝珠・塔の形をした五種があります。

金剛とは

僧侶の説明

金剛とは最も硬いもので、何物にも壊されるようなことがないもののこと。

仏道を極めて迷いを断ち切り、迷ったり壊れることの無い心の状態を硬さで表現したものです。

金剛鈴の由来

密教の法具を使った修法は魔物が入らない清浄な場を作って本尊を招き、飲食や香で最高のおもてなしをしてからお帰り頂くための作法の場合には、音楽でのおもてなしも含まれていて、金剛鈴は清浄な音楽を演出するための道具であり、ある意味仏の世界での楽器でもあるのです。

金剛鈴は持ち歩けば澄んだ音が遠くまで響くことから巡礼の際の魔除けや動物除けにも使うことが出来ますし、読経の時の音頭取りにも使うことが出来ます。

仏の教えを和歌にして唱える御詠歌(ごえいか)の時にも金剛鈴が使われます。

金剛鈴の音が鳴る仕組み

金剛鈴の音の鳴る仕組み

金剛鈴の鈴の中には金属の球が紐で吊るされていますので、手に持って全体を前後に振れば音が出るような仕組みになっています。

金属の球を吊るしている紐は切れやすいので、金属の輪や張り紙などで吊るしていることもあります。

金剛鈴の形と使い方

金剛鈴は使い方によって形や使い方が違ってきます。

密教法具として

法具の写真

密教の法具として使う場合には一面器と言われる法具の中央、金剛盤の上に独鈷杵三鈷杵五鈷杵に囲まれて置かれます。

日々の行法や理種三昧法要時には右手に五鈷杵を持ち、左手に金剛鈴を持って振り下ろすように鳴らします。

前後に振り下ろすような使い方は、どの金剛鈴も大体同じです。

護摩を焚く時にも同様の使い方をします。

持鈴として

持鈴

四国八十八箇所の巡礼西国三十三観音霊場の参拝などで杖傘や経帷子などの巡礼用品としての持鈴は紐が付いていて腰のあたりに下げて、魔除けとして使います。

巡礼の寺院では読経の時に使ったり、御詠歌を奉納する時に使います。

修験道の行者が動物除けや魔除けとして使うこともあります。

御詠歌として

御詠歌

御詠歌とは仏教の教えを和歌にして抑揚をつけて曲のように唱えます。

金剛鈴の鳴らし方と鳴らすタイミングが決まっていますので、大勢で唱えれば荘厳さを増します。

寺院毎に決まった御詠歌がある場合には、寺院を参拝した時に本堂の前などで金剛鈴を鳴らしながら唱えて奉納します。

ガンターとして

ガンターとして

チベット密教では金剛鈴のことをガンターと言い、五鈷杵のことをヴァジュラと言い、ガンターは智慧を表す女性原理として、ヴァジュラは方便を表す男性原理として用いられます。

ヴァジュラとガンターはチベット密教では組み合わせで使われます。

左手にガンターを持ち、右手にヴァジュラを持ち、瞑想するようにガンターを鳴らします。

輸入品が普通に販売されていますので、誰でも買うことが出来て、瞑想用として、場の浄化のためなどの目的で使われています。

金剛鈴菩薩

金剛鈴菩薩は金剛界曼荼羅の「成身会」と「三昧耶会」の中に居られます。

成身会

金剛界曼荼羅

金剛界曼荼羅では中央に位置しているのが「成身会」で

金剛界曼荼羅

「成身会」の中では右側中央の「賢劫の千仏」と言われるタイルのように描かれた仏の中に配置され、37番の仏です。

成身会の写真

金剛鈴菩薩をピックアップしたら

金剛鈴菩薩

金剛鈴菩薩はサンスクリット語でヴァジュラ・アーヴェーシャと言い、「堅固に召入する者」という意味です。

一切如来たちを召入する引摂の三昧耶として現われて、鈴の音が響き渡るように全ての衆生を曼荼羅世界に導く菩薩です。

三昧耶会

「三昧耶会」は下段中央にあって金剛鈴菩薩は象徴としての持物の鈴が蓮の花の台の上に描かれていて、先ほどの「成身会」と大体同じ位置にあります。

金剛鈴菩薩の写真

金剛鈴の効果

金剛鈴は様々な目的のもとに使われていて

  • 金属から音が出る故に金運上昇
  • 災難除け
  • 良縁
  • 財運上昇

高くて澄んだ音は単純に癒しの効果もあります。

多くの僧侶の読経の中での金剛鈴の音は天界から降って来る音のように聞こえるものです。