形代とは

形代のイラスト

形代(かたしろ)とは神仏や霊、魂などが依り憑くための依り代となるもので、人の形をしたものを人形代(ひとかたしろ)と言います。

形代の歴史

土偶のイラスト

我が国では縄文時代に土偶と呼ばれる人の形をした素焼きの人形が祭祀の道具として作られたとされ、全国の集落の遺跡跡から数多く出土されていますが、素焼きで脆い性質のために完全な形で残っていることが稀であり、祭祀の時に意図的に割ったり折ったりしたのではないかとも言われています。

古墳時代の人型埴輪になりますと亡き人のお供として、或いは古墳を護るための兵隊としての役割があったと思われます。

人形代(ひとかたしろ)

人形代のイラスト

人形代(ひとかたしろ)とは人の形に切った和紙のことで、木の板や茅萱(ちがや)で作られることもあります。

人形代には自分の名前と年齢、生年月日などを書いてから息を吹きかけるか、体の悪い部分を撫でた後に川や海に流します。

人形代が自分の身代わりとなって罪や穢れ、病気を写し取りますので、それを川や海に流すことによって罪や穢れが浄められるのです。

五月人形雛人形も子供の厄を吸い取ってくれるので、厄を浄めるために川に流す「流し雛」(ながしびな)の習慣が残っている地方があります。

人形(にんぎょう)に霊が憑く

人形供養

人の形をした人形代(ひとかたしろ)に霊が憑くのなら人形(にんぎょう)にも霊が憑くと思うのは当然のことで、特に年代物の古い人形が髪の毛が伸びたとか置いた場所が移動している、顔の表情が変わるなどと言われて恐れられていることがあります。

道具にしても使い古した古い道具は100年経てば魂を持って付喪神(つくもがみ)になると言われていますし、妖怪になって暴れまわることもあります。

物が魂を持つ、霊が憑くということを古代より当たり前のように受け止めてきたからこそ仏像を礼拝し、位牌を祀り、御神木磐座(いわくら)を崇拝するのです。

人形は霊が憑くこともありますが厄を取り払う役割も果たしてくれるのですから、今も昔も私達の生活に欠かせない存在なのです。

処分出来ない形代は

人形のイラスト

家の廊下に置いてある人形の傍を夜に通ると目が合いそうで怖い、雛人形を出そうとすると娘が怖がるので仕舞ったままにしている、などのことでお困りでしたらお焚き上げ供養の利用が理想です。

形代ではなくても何かの気配を感じるような物が家の中にありましたら、そのような物もお焚き上げ供養を利用すれば魂や霊が供養されます。

眼に見えない現象を何でも霊のせいにすることは良くありませんし、むやみに怖がる必要はありませんが、物に執着することを捨て去ることは仏教的にも正しい事であり、自分のためにも地球のためにも物に執着しない生活をしていくことが大切です。