磐座とは

磐座とは

磐座(いわくら)とは神様がお座りになる場所の事で「磐」がどっしりと安定した大きな石で「座」が地面に座っていることを表し、神の居る場所の事でしたが、大きな岩そのものが信仰の対象になることもあります。

神の依り代

神は天から降りてくる時に上から見て良く分かりやすい目印となる物に降りてくるので、その目印の事を依り代と言います。

上から見てよく分かりやすい物は

  • 大きな山
  • 大きな木
  • 大きな石

などで、いずれも大きな物であったり、特徴的な形をしていたりで、見るからに神々しいものが選ばれます。

神が天から目印を目標に降りて来て鎮座するのが磐座なのです。

帰る神

神は私達の生活を守ってくれますが、時には災いをもたらしたりすることもあるので、災いをもたらさないように儀式を行い、供物や感謝の言葉を述べてもてなした上で、頼みごとをする時に神に来てもらい、もてなしが済んだらお帰り頂くのが通常の作法です。

儀式の時には神が天から降りて来て磐座に鎮座するのです。

神は天に住んでいて忙しいのですから、時々用事がある時に私達人間世界に降りてくるということなのです。

御神体として

磐座に降りてくる神が豊かな恵みを与えたり災いを避けるなどの特別な力を有していれば、磐座自体が御神体として社殿の中に祀られて、常に多くの人がお参りするようになるものです。

そうなれば神は天から降りてきたり帰ったりすることを止めて、常に磐座に留まるようになり、その結果として磐座自体が御神体ということになるのです。

不思議な力

磐座は昔からそこにある特別大きな石や変わった形の石という事が多いのですが、小さな石であっても時にはパワーストーンのように不思議な力を秘めていることもあります。

宇宙線のエネルギーを発してる隕石、放射線を発する石、或いは龍や鬼の伝説が残る石などが不思議な石として御神体になっていることもあります。

こういった御神体が磐座として祀られていることもあり、近くに居たり触れるだけで特別な力を感じる人が居ます。

仏教と磐座

弘法大師伝説

仏教では石を御神体として崇拝するようにことはありませんが、石に彫られた仏像や石仏を礼拝することはあります。

石の産地として有名な所には大抵、摩崖仏(まがいぶつ)と言われる石仏が彫られていて、修験道の道場になっていますが、山伏の行者が修行として彫った仏像や、罪人が免罪のためにと彫った仏像などが日本各地に伝わっています。

自然の中で修行をし、大自然の力を身に付ける修験道の世界では山川草木悉皆成仏(さんせんそうもくしっかいじょうぶつ)の思想があり、自然の中のあらゆる物に仏が宿り、或いは仏になるので、歩きながら接する物全てが神であり仏であり、そういった物の中でも磐座は特別な存在として礼拝されているのです。

物や道具にも魂が入り、時には神仏になることもある付喪神(つくもがみ)は自然物だけではなくて物にも魂が宿ることを示しています。

そういう意味では私達の周りは八百万の神々が存在する神仏だらけということなのです。

心の目でよく観てみればそこに居られるはずです、心の耳でよく聞いてみればそこから聞こえるはずで御座います。