仏説とは

仏説のイラスト

仏説とは経典の始めに書かれる定型文で仏が説くという事であり、仏は釈迦如来のことでしたが、大乗仏教では様々な仏が説く経典があります。

釈迦の説いた教え

阿難尊者

釈迦の説いた仏法は在世当時には製本の技術が普及していなかったことや、教えを書くということ自体が尊い教えを損なうということで、口伝えに弟子から弟子へと伝えられていきました。

現代に伝わる経典の冒頭部分が「是(かく)の如く我れ聞く」から始まっているのは、弟子が釈迦から「そのように聞きました」ということで聞いた内容が書かれているのです。

如是我聞は「にょぜがもん」「じょしがぶん」などと読まれますが、仏典の最初の部分に必ずと言っていいほど登場する言葉です。

「我は仏陀からこのように聞いた」という意味なのですが、「我」のほとんどが多聞第一と言われる弟子の「阿難」であるとされます。

結集

第一回結集のイラスト

釈迦の入滅後しばらく経ってから釈迦の説いた教えを確認し合う集まりである第一回結集には釈迦の教えをよく聞いていたということで阿難の参加が望まれていましたが、阿難は結集に参加する資格としての阿羅漢果(あらかんか)にまだ達していなかったために、釈迦の後継者の摩訶迦葉(まかかしょう)は阿難の参加を認めませんでした。

釈迦の説いた教えを正確に記録するためにはある程度のレベルに達している人でないといけないという判断があったからです。

そのため阿難は摩訶迦葉のすすめで瞑想修行に専念し、疲れのために寝具に倒れ込んだ拍子に悟りを得たのが第一回結集の朝だったと言われています。

その後も何回も結集が行われて編纂されたのが「阿含経」であり、釈迦の教えが濃厚に残されている最も古い経典として有名です。

阿含経では釈迦の直接の言葉をそのまま筆記したのではなくて、口伝で弟子達に伝えられてきたのですから、少々の変化はあれど、釈迦の教えが含まれていることは間違いありません。

大乗仏教の仏説

大乗仏教の仏説のイラスト

大乗仏教では釈迦以外に過去、そして未来にも菩薩として修行して完全なる悟りを得た如来の存在を認め、それぞれの浄土の世界を説き、西方阿弥陀如来の極楽浄土、東方薬師如来の瑠璃光浄土、大日如来密厳浄土などの多くの浄土が展開されて、衆生が救われる選択肢が広がったことで仏教は飛躍的な展開を果たしたのです。

大乗仏教の広がりと共に経典の教学も進み、原典からの翻訳、解釈などの発展はもちろんのこと、仏説と称して弟子の阿難などが聞いたとされる新しい経典も数多く生まれ、後世になって偽経と言われる経典も数多く存在します。

しかしながら多くの出家者が厳しい修行の中で聞いた仏の教えだとすれば価値のあるものであり、数多くの経典があるからこそ私達は多くの仏との出会いのきっかけとなるのであって、一概に釈迦が説いたのではないから偽物だと決めつけるのではなくて、真理の世界というものはただ一つだけということではなく、それぞれの人に対して最も適切な方法を提示するのが仏教者としての務めであって、大乗仏教としての良さなのです。

私達が経典を読経するのは中身の意味を身に付けるためと、もう一つは音とリズム、波長を合わせる為です。

音とリズム、波長を合わせるのに最も適切な方法が真言、マントラです。

何回も唱えていると波長を感じるようになり、その波長が神仏の波長と合えば通じ合うことが出来るのです。