付法の八祖とは
真言密教の付法の八祖とは大日如来を教祖とする密教の秘密法流を灌頂受法にて相承した祖師のことです。
付法の八祖の概略
- 大日如来(だいにちにょらい)…大宇宙の根源、密教の教主
- 金剛薩埵(こんごうさった)…大日如来の直弟子で説法を聞き衆生に伝える
- 龍猛菩薩(りゅうみょうぼさつ、ナーガールジュナ)…金剛薩埵から密教経典を授かる
- 龍智菩薩(りゅうちぼさつ、ナーガボーディ)…龍猛から密教を伝授される
- 金剛智三蔵(こんごうちさんぞう)…インドで龍智から密教を学んで唐に帰り「金剛頂経」を伝える
- 不空三蔵(ふくうさんぞう)…唐の長安で金剛智に師仕し「金剛頂経」を翻訳
- 恵果阿闍梨(けいか)…中国生まれ。金剛界・胎蔵界両部の密教を受け継ぐ
- 弘法大師…恵果阿闍梨より金剛界・胎蔵界両部の密教を受け継ぎ日本に伝える
伝持の八祖の特徴
伝持の八祖が絵に描かれる時には特徴を持物や印などで表現されています。
- 大日如来…智拳印もしくは法界定印を結んでいる
- 金剛薩埵…手に五鈷杵を持っている
- 龍猛菩薩…手に三鈷杵を持っていて、もう一方の手は衣の裾を握る
- 龍智菩薩…手に梵経を持っていて、もう一方の手は衣の裾を握る
- 金剛智三蔵…右手に数珠を持っていて、もう一方の手は衣の裾を握る
- 不空三蔵…合掌して「外縛印(げばくいん)」を結ぶ
- 善無畏三蔵…右手の人差し指を上に立ている
- 弘法大師…三鈷杵または五鈷杵と数珠を持っている
灌頂とは
灌頂とは金胎両部伝法灌頂とも言い、金剛界伝法灌頂と胎蔵界伝法灌頂の二つのことで、阿闍梨と言う指導者の位を授ける儀式です。
密教の奥義を伝授されることによって正式な密教の伝授者として認められ、弟子を持つことが認められます。
付法の八祖と伝法灌頂
付法の八祖は大日如来からの流れで弟子として灌頂を受けて法を授けられた者としての祖師ということになり、現代に至るまで多くの師匠から弟子へと法が伝わっていて今の密教僧が居るということになるのです。
