高野山奥の院参道
高野山奥の院の参道には、織田、豊臣、徳川、武田などの有名な戦国武将の供養塔を始め、親鸞、法然などの祖師の供養塔をはじめ大小20万基以上に及ぶ供養塔がひしめき合っている中でお顔に化粧すると美人になる化粧地蔵を紹介します。
化粧地蔵とは
奥之院へと続く参道を歩いていますと突然顔にベタベタと化粧されたお地蔵様が現れてびっくりしますが、このお地蔵さんはとても人気者です。
このお地蔵様は「お化粧地蔵」と言われていて、口紅や頬紅が塗られています。
赤いよだれかけを掛けられたり帽子を被せられたり、アクセサリーを付けられたりしてとにかく目立つこのお地蔵様には参道を歩く人が必ず足を止めて、写真撮影しています。
私も、この異様な姿のお地蔵様には足を止めざるを得ませんでした。
化粧地蔵の由来
「このお地蔵様にお化粧をすると美人になる」という言い伝えがあるそうで、お地蔵様も、美人になりたいという人の願いまで叶えてあげるのは、さぞ大変なことだと思います。
通りすがりの人々にベタベタと化粧されて、滑稽なことになっているのに、平然としていて、しかし良く見ると、とても愛嬌があるのです。
化粧地蔵の功徳
お地蔵さんは昔から民家の近くにお祀りされていて、事故の現場を供養したり、お墓の入口を守ったり、地域の安全を願ったり、水子さんの供養をしてあげたりと身近な存在であったので、赤いよだれかけを付けてもらったり、寒い時期になれば帽子や手袋を付けてもらったりと、皆と触れ合う機会が多い仏なのです。
またトゲを抜いてくれたり、病気を治してくれたりとその活動が多岐にわたる中での「美人になりたい」という希望まで叶えてくれるのですから、お地蔵様はとても忙しい存在なのです。
お地蔵様は私達の生活の中で困っていることを解決してくれるというとても有難い功徳をお持ちなのです。
化粧地蔵の目的
お金持ちになりたいとか、美人になりたいという願望は、仏教では煩悩として捨て去らなければならない欲望ですが、密教では、とりあえず叶えてあげることで、より高いレベルの真の幸せに気付くよう、導いているのです。
美人になったから幸せになれるかと言ったら案外、そうでもないのが世の中の道理なのです。
化粧したり整形したりお手入れしたりして苦労して美人になって初めて気が付くこともあるし、逆に美人になれないからこそ気が付くこともあるのです。
美人の人が必ず幸せになるかと言えばそうでもなく、美人ではないけれど幸せを掴んだ人もたくさん居るのです。
そして低いレベルの幸せがあるからこそ、高いレベルの幸せがある訳で、この世の中、無駄なものは一つも無いのです。
それぞれが役割を持って機能している、曼陀羅の思想なのです。
化粧地蔵にお参りしよう
美人になってもならなくても、会えるだけで幸せになれそうなお地蔵さんにお参りしてみましょう。
化粧地蔵の場所
化粧地蔵は中の橋駐車場に車を止めて奥の院に参拝している途中の右側にお祀りされています。
あなたも美人になりたかったら是非化粧地蔵に頬紅を付けるか、口紅、もしくは白粉(おしろい)を塗ってあげて下さい。
ここはまだ撮影可です。
お地蔵様を身近に感じてしまうこの存在感、私達の勝手な願いも叶えてくれるのですから、実に懐の深いお地蔵様なのです。
お地蔵様の前にはいつも「高野槇(こうやまき)」がお供えされている大人気のスポットです。