十悪とは

十悪とは

仏教徒として為してはいけない行為のことで、犯した者は地獄に堕ちるなどの罰を受けるとされます。

十悪の内容は

十悪とは「十善戒」の戒律の項目から「不」を取り除いたものです。

たとえば「十善戒」の最初の項目である「不殺生」から「不」を取り除いた「殺生」が十悪の最初の項目になり、「殺生、偸盗、邪淫、妄語、綺語、悪口、慳貪、瞋恚、邪見」の十項目が十悪になります。

十悪は体による行為と口による行為、そして心による行為の「身口意」の行為によって成り立ちます。

身による行為

体による行為とは体の部分である手や足または体全体を使っての行為のことで、道具を使うことも含め、自分の代りに人にさせる行為も含みます。

  • 殺生…生きものの生命を奪う
  • 偸盗…他人の物を盗む
  • 邪婬…不道徳な性行為

口による行為

口による行為とは言葉として発することで、言葉自体には殺傷能力は無いものの、人を動かしたり、その気にさせたりする力があります。

人に対する暴力は体で行う暴力の他に言葉での暴力があり、「言葉の暴力」とも言われ、最近ではモラハラ(モラルハラスメント)として知られています。

  • 妄語…嘘をつく
  • 綺語…飾り立てた言葉を言う
  • 悪口…他人を傷つける言葉
  • 両舌…他人の仲を裂く言葉

意(心)による行為

心の中での怒りや憎しみ、間違った考え方などはそれ自体人に危害を与えるものではありませんが、心で思っている気持ちが強くなればなるほど、実際の行動に結びついてしまいます。

  • 慳貪…貪る
  • 瞋恚…怒り憎む
  • 邪見…誤った見解

最も重い罪

十悪の中で最も重い罪は「殺生」です。

殺生は殺される側からすれば一番大きな苦しみになるのです。

屠殺場で屠殺される牛や豚、鶏などは最後の瞬間が近付いていることを敏感に察知して逃げ回り、最後には涙を流しながら命乞いをするそうです。

死ぬこと、そして苦しむことが怖いからです。

「お願いだから殺さないで欲しい」

最高の苦しみを受けるのはどんな生き物にとっても嫌な事なのです。

もう一つの苦しみは生きる権利を奪ってしまうことで、人も動物も「死にたくない」という意識を潜在的に持っていますので、その潜在的な欲望を故意に断ち切ってしまうことはとても大きな苦しみを伴うからです。

重い罪を犯した者は

仏教の「因果応報」の大原則は原因となるものがあれば、それに応じた結果が現れるというもので、善い行いに対しては善い結果が生じ、悪い行いに対しては悪い結果が生じると説かれます。

ここで言うところの悪い結果とは地獄に堕ちるような結果のことです。

更に「自業自得」の大原則は、自分が為した行いの結果は自分が受けるというもので、当然のことながら悪い行いに対しては悪い結果が生じるでけのことで、自分の為したことの結果は誰かが代わりに受けることは無いと説きます。

つまり重い罪を犯した者は自分でその結果を受けなければならないのです。

その結果と言うものがどういう結果になるのかは分かりませんが、相応の結果であり、永遠に近い時間苦しみ続けることもあるのです。

戦争は十悪全てにつながる

今起こっている戦争に限らず戦争というものは、十悪全てを犯すことになりますので、関わることになれば最悪の結果しかないということになります。

現に戦場では決して普通の感覚では直視できないほどの地獄の世界が出来てしまっています。

現実の世界が地獄なら、そこにつながる世界は地獄しかないのです。

21世紀になって、マクロの世界は太陽系の果てからミクロの世界では素粒子の世界まで解明し、高度な文明を持った私達人類の住む地球上で、道に倒れた遺体が放置されている世界があるなんて信じられないことですが、文明を築き上げた欲望のなれの果ての世界なのかもしれません。

約束を守らない国、人の命を何とも思わない国、自分だけが正しい、他は全て悪いという国が傍にあるとしたら武力で対抗するしかないという意見も一理あります。

丸腰の人間は狙われやすいけれど武装している人間は狙わないという考えです。

しかしながら人類はこれまで相手が武装したら相手の武器より強い武器を持つことでの応酬を繰り返してきましたので、何時になっても絶対的な安心は得られないことを悟るべきです。

大量の武器の上に胡坐をかいた状態は決して平和でないのです。

戦争に巻き込まれて十悪に関われば、結局は自分自身が永遠に近い時間苦しむのですから、せっかく人間に生まれて功徳を積むチャンスを与えられても、取り返しの出来ない人生になってしまいます。

十悪に関われば結局は自分自身が一番損をするということに気が付かなければいけません。

私が信仰する毘沙門天は相手を滅ぼす戦いはダメだと説き、勝つことよりも負けないようにすることを説いておられます。

今私達は戦争に、そしてコロナに負けそうになるほど大きなダメージを受けていますが、勝たなくて良いですから、負けないように致しましょう。