式叉摩那とは
式叉摩那(しきしゃまな)とは仏門に入門して出家した尼僧の内、入門して二年未満の修行中の者のこと。
式叉摩那の由来
出家して二年間の期間を女性だけが「式叉摩那」と言って男性と区別されている理由は、女性の妊娠の有無を確かめる為であって、妊娠していなければ沙弥尼から比丘尼になることが出来ます。
もし女性が妊娠していたとしたら子供を産んで育てるということを優先しなければいけません。
実際に出家した女性が妊娠していたという事があったからなのでしょうが、そういった場合には命を優先させるということなのです。
出家するということは家や家族を捨てるということになりますので、小さな子供が居る女性が子供を捨てて出家するなど出来ませんし、今の時代の新興宗教のように子連れで出家という形態も無かったのでしょう。
女性の出家
阿難は釈迦の在世中に釈迦の養母である摩訶波闍波提(まか・はじゃはだい=マハー・プラジャパティー)達が釈迦に対して出家したいとの申し出に対し、認めようとしなかった釈迦を説得して尼僧((比丘尼)が出来たことは彼の偉大なる業績です。
当時女性の出家者というものが存在しなかったのは、集団の中に女性が加わることによって恋愛の感情が生じたり、修行に集中できないなどの問題や、社会的に女性の身分が低かったことなどの理由によるものですが、阿難は男女に関係なく一人でも多くの衆生が救済されることが真実の教えにとって必要なことであるとの思いを釈迦に伝えたのです。
出家と煩悩
世の中の姿が時代と共に移り変わる中で、今も昔も変わらずに在り続けるものが人間の煩悩で、この世の中に男と女が居る限り、尽きることの無い欲望が渦巻き、喜びと悲しみを繰り返しながらも時には人を愛し、時には人を憎んで戦争まで引き起こし、煩悩という大きな魔物に振り回されながら一生を終えていくのです。
ほとんどの人が煩悩の正体が分からぬままに、煩悩に振り回されるだけの人生を送るのですが、出家して仏門に入り戒名を頂き俗世間から離れたら、煩悩は悟りの大敵であるとして、一切の煩悩を断ち切って戒律を守る正しい生活を送ることになるのです。
修行にとって男女の誘惑は修行にとって最大の障礙であることから「不淫戒」が存在しているのです。
出家した者の目標が悟りであることから、悟りに邪魔なものを一切捨て去ることが出家者としての任務なのです。
一人でも多くの者が悟りを得て他の苦しむ衆生を救済することが人類にとって必要なことであり、救済された者が次の者を救うことによって真の意味で幸せな世界が出来上がるのが仏教の理想世界なのです。