阿闍梨とは
阿闍梨とはヴェーダ経典における指導者という意味であり、仏教に於いては教義を伝授する高僧のことを言い、密教に於いては僧侶の資格を持つ者という意味で使われます。
密教での阿闍梨
真言密教での阿闍梨とは一定期間の修行である「四度加行」(しどけぎょう)を終えて「伝法灌頂」(でんぽうかんじょう)を授かった者に与えられる宗派公認の資格のことです。
伝燈大阿闍梨とは
伝法灌頂を終えて本山に3年ほど残り、約10年ほど奉仕して「一流伝授」の資格を得て初めて、弟子に教えることの出来る伝灯阿闍梨となります。
更に高野山真言宗では高野山の勧学院で行われる勧学会に毎年出仕して修学し、特別に選ばれて十数年に一度開壇される学習灌頂を受法すると、最奥の阿闍梨位とされる伝燈大阿闍梨に昇達します。
阿闍梨の徳とは
大日経の第二巻・具縁品には、灌頂の導師である阿闍梨は次の「十三種類の徳」を具えていなければならないと説かれています。
- 菩提心を発し
- 妙慧と慈悲とがあり
- 諸芸(阿闍梨の五明)を兼ねて統べている
- 善巧に般若波羅蜜を実修し
- 三乗(声聞乗・大乗・金剛乗の全て)に通達し
- よく真言の実義を理解し
- 衆生の心を知り
- 諸仏・菩薩を信じ
- 伝法灌頂を得て妙に曼荼羅の図像を理解し
- その性格は調柔にして我執を離れ
- 真言行において善く決定することを得て
- 瑜伽(密教ヨーガ、瞑想法)を究習して
- 勇健な菩提心に安住すること
阿闍梨戒とは
阿闍梨戒とは阿闍梨が守るべき戒として授けられる戒で、破ることにより阿闍梨の資格を剥奪されます。
- 金剛乗(密教)の諸戒律に違反することがあってはならない
- 身口意の三業をもって、師僧に供養する
- 密教における「法」の伝統を軽視してはいけない
- 伝法と真言の伝授には必ず師僧の許可を得る
- 師僧が当地を離れた時は、力の限り道場を守る
- 伝法に際しては敬虔であり名利を求めてはいけない
真言宗の阿闍梨に成るには
真言宗の阿闍梨になるには師僧が必要ですし、得度(とくど)→受戒(じゅかい)→四度加行(しどけぎょう)→伝法灌頂(でんぽうかんじょう)の順に体得していく必要があります。
もっと詳しく…真言宗の僧侶に成るには
これだけの工程が終了すれば阿闍梨になることが出来るのです。