閼伽とは
閼伽(あか)とはサンスクリット語のargha音写で仏教では仏前に供えるための水のことで閼伽水とも言い、閼伽水を入れるための容器の閼伽器または閼伽坏のことでもあり、密教では清める目的で使われます。
インドでの水の役割
インドでは古来より来客をもてなすために古くから手と足を洗うための水と食後の口をすすぐための綺麗な水が家の中に準備する習慣があります。
裸足で歩き、素手で食事をし、トイレの後を水で洗浄する文化なので、綺麗な水で洗うということが生活の中に浸透しているのです。
因みにインドではを清浄の手とされる右手で食べ物を食べ、不浄の手とされる左手は使いません。
またインドでは沐浴の習慣があって、ヒンドゥー教徒がガンジス河で沐浴するのは、ガンジス川が宇宙での聖なる悟りの世界につながる入り口としての川なのであって、その水で体を清めることで穢れが落とされるとされているのです。
仏に水を供える理由
仏を供養するために供えるものとして五供養または六種供養と言って決められたものがあります。
仏具のことであり、一般家庭にある仏壇の中にも配置されています。
五供養とは塗香、華鬘、焼香、飲食、灯明のことで、六種供養とは閼伽、塗香、華鬘(けまん)、焼香、飲食、灯明のことです。
五供養に閼伽が加わったのが六種供養になります。
寺院で修法を行う大檀(だいだん)では火舎香炉を中心として左右対称に閼伽、塗香、華鬘、更に飲食、華瓶を置きます。
六種供養とは
六種供養とは仏教に於ける仏に供える供物のことで、閼伽、塗香、華、焼香、飲食、灯明のことです。
- 閼伽…清浄な水
- 塗香…手や身体に塗るための香
- 華鬘…清浄な花
- 焼香…火を付けて焚く香
- 飲食…飲み物と食べ物
- 灯明…油を使って灯す灯り
六種供養と六波羅蜜
六種供養と六波羅蜜には次のような関係があります。
閼伽井とは
閼伽井とは閼伽水を汲むための専用の井戸で、仏様専用の井戸ですから他の用途に使うことが無く、早朝のまだ暗い内に汲みに行き、閼伽水は堂内の諸仏に供えられたり、仏器に使われたりします。
東大寺修二会のお水取りは毎年三月に行われる春の訪れを告げる行事で、「閼伽井屋」と呼ばれるお水取りの香水を汲むための専用の井戸があります。
閼伽に関する物
閼伽に関する物としては
- 閼伽井(あかい)…閼伽を汲む専用の井戸
- 閼伽桶(あかおけ)…閼伽を入れる桶
- 閼伽棚(あかだな)…閼伽桶を置く棚
- 閼伽器(あかき)…閼伽を入れる器
- 閼伽坏(あかづき)…閼伽水を桶から器に移す坏
このような専用の道具があります。