宝塔とは

宝塔のイラスト

宝塔とは円柱形の塔身に四角い屋根を乗せた仏塔のこと。

仏教の宝物とは

僧侶の説明のイラスト

宝塔は「宝の塔」と書かれるように仏教での宝物が詰まった塔のことです。

仏教での宝物は三宝と言って、仏・法・僧のことになり、

  • 仏…悟りを開いて法を説いた仏のこと
  • 法…悟りを開いた仏が説いた真実の教えのこと
  • 僧…法を守り、法を衆生に説く出家者のこと

宝塔には仏像や経典が納められ、僧が仏法を広めるために活用します。

宝塔と写経

写経の歴史

宝塔に写経が奉納されるようになっていることがありますが、それには理由があります。

釈迦の悟りの内容である仏法が釈迦の入滅後の時間の経過と共に形骸化していく様子を「三時思想」と言い、釈迦の入滅後の5百年(もしくは千年)を正法、以後の千年を像法、以後の1万年を末法と呼ばれています。

  • 正法…釈迦の入滅後の5百年(もしくは千年)は教えが正しく実践され悟りの内容が正しく伝わっている
  • 像法…その後の千年は仏法の形は残って修行する者がいるが悟りに近付くことが出来ない
  • 末法…その後の1万年は仏法の形しかない上に修行する者も悟りを得る者も居ない

平安時代には釈迦の入滅後の正法と像法を経て末法に入ると言われたことから、釈迦の説いた法が忘れられてこの世が乱れるという末法思想が流行し、釈迦の説いた法を瓦に焼いて地中に埋めて後世に残そうとするための経塚がたくさん作られました。

地中に埋められた経典は、いつかまた掘り起こされて釈迦の法がまた世の中に出てくる時が必ず来ると信じられていたのです。

その経塚は全国に数多く発見されていますが、主に法華経の経典を瓦に刻んで焼いたものが石で出来た宝塔の下に埋まっていたり、瓦経と陶器の宝塔が一緒に埋まっていたりしています。

現代でも写経を宝塔に納めるのは、経典を宝塔の中に納めて後の世にまで仏法を伝えようという思想があるからです。

毘沙門天と宝塔

多聞天の写真

神仏の特徴は姿形や持物、印などで表されています。

毘沙門天が左の手に乗せている宝塔は智慧の象徴です。

毘沙門天は妃の吉祥天と子の善膩師童子と共に家族神であることから、家族の中では父親の役割であり、鎧兜に身を固めて外敵から家族を守り、宝塔の中の智慧を駆使して家族の幸せを生み出し、衆生の迷いに対して正しい智慧で導いて居られるのです。

家庭の中や職場や学校の中で何か問題が起きた時に、どうしたら良いのか迷うことは誰にでもあるものです。

そういう時に正しい判断が出来れば物事は良い方向に向かうものですが、間違った判断をすると悪い方向に向かってしまい、その間違った判断にこだわり続けると益々悪くなってしまうことがあります。

人は誰でも間違いを犯すものであり、間違ったと気付いた時にすぐに謝るべきは謝って修正すべきなのですが、こういう時にプライドが邪魔をしてしまい、間違いを通し続けようとすることは誰の利益にもならないのです。