孔雀明王とは
孔雀明王はサンスクリット語でマハーマーユーリー(Mahāmāyūrī)と言い、「偉大なる孔雀」の意味で忿怒の形相が多い明王の中では慈悲の表情をした菩薩の姿をしています。
孔雀明王の姿
明王は大日如来の命を受けて仏教に反する衆生を調伏(ちょうぶく)するために現れます。
調伏しにくいような衆生に対して力づくでも引き入れるようにと、様々な武器を持ち、恐ろしい顔と激しい姿の忿怒の相をしていることが大きな特徴です。
しかし孔雀明王は実に穏やかな慈悲の表情を浮かべ、優雅な姿で孔雀の上に乗っています。
一面四臂の姿で表されることが多く、4本の手にはそれぞれ倶縁果、吉祥果、蓮華、孔雀の尾を持っています。
孔雀について
孔雀は中国から東南アジアにかけて生息しているキジ科の鳥類で、オスの鮮やかな羽が特徴ですが、オスが求愛時に飾り羽を扇形に開いてメスを誘います。
羽を広げた姿は大きな扇を広げたようでとても美しく、全長は1.5メートルほどになります。
雑食性で草や葉、木の実などを食べる他にミミズやシロアリ、小動物も食べ、毒虫や蛇を攻撃することから邪気を払うとされて仏教には「孔雀明王」として取り入れられました。
孔雀と仏教
仏教では悟りを邪魔する煩悩の中でも貪り、怒り、無智の「貪瞋痴」を「三毒」と言って「毒」と捉え、その毒を消し去る必要を説きますが、毒蛇や毒虫を食べると言われる孔雀の姿が煩悩の「三毒」を喰らう姿に重なって、孔雀明王という姿に神格化されたものと思われます。
羽を広げた孔雀の姿は美しいけれど、その裏には毒を喰らいつくすという恐ろしく厳しい一面を持ちながらも優雅な姿で衆生の救済をしているのです。
孔雀明王が孔雀に乗っている本当の理由
動物に乗った仏としては
などの仏が居て、それぞれに理由があり、孔雀明王が孔雀に乗っている理由もこれまでに書いてあるのですが、実際の孔雀は人や仏を乗せるような鳥ではありません。
孔雀明王は絵に描けば孔雀に乗っている明王ですが、私達にその働きが分かりやすいような姿として孔雀に乗っているのであって、優雅なお顔をされてはいますが、本当は三毒を喰らう恐ろしい明王なのです。
孔雀明王の真言
孔雀明王の真言は
- おん まゆらきらんてい そわか
孔雀明王の功徳
魔を食い尽くすという意味で鎮護国家の大法として祈願されます。
孔雀が雨を予知する能力があるという事で祈雨法(雨乞い)として祈願されることもあります。
山歩きの時に蛇除け、魔除けとして真言を唱えると良い。