利己主義とは
利己主義とは自分の立場や利益ばかりを考えて他人や社会などのことを考えることなく自分勝手でわがままに振る舞うことで、自己中心主義、エゴイズムとも言います。
満足の正体
私達人間の本性としては、自らの心の底から次々と湧き出てくる欲望に従って行動しているのですから、おいしい物が食べたいとか旅行に行きたいなどの欲求は全て自分自身の欲求であり、他を満足させるような欲求ではありません。
ですから本能の赴くままに行動していたら自分だけが満足できればそれで良いという事になってしまうのです。
自分が満足することは自然に湧いてくる要求なのですから決して悪いことではありませんし、生きていく上での楽しみ、生き甲斐になることなのです。
おいしい物を食べたり趣味のコレクションを買い集めたりすることは仕事や趣味に生かされて、人生を豊かにすることに繋がるのです。
しかしこの「自己満足」は自分だけが満足することであり、欲望というものの本質がどんどんエスカレートすることを思えば、決して真の満足という領域に至らないこと、そしてよく周りを見渡してみれば自己満足のために人を傷つけていることに気が付いていないこと、自分の満足の裏で苦しんでいる人がたくさん居ることなど、様々な弊害を引き起こしているのです。
世界中から集めた高価で珍しい食べ物をたくさん準備して、食べ切れなかったからとゴミ箱に捨てる裏には飢えで死んでいく子供がいます。
安価で使い捨ての便利商品の裏には土壌や河川の汚染で原因不明の病気になる人が続出しています。
高級木材を輸入して建てた立派な家の裏には自然破壊されて住む場所が無くなり消えていく動物達がいます。
高級毛皮のコートの裏には皮を剥がされて死んでいった動物達がいます。
利己主義の人の特徴は「自分の事しか見えない」ことであり、他を見ない、見ようとしないことです。
社会的動物
私達人間は社会的動物であると言われ、社会を形成することで生きていくのであって、決して一人では生きていけない動物です。
山奥で一人ぼっちで生きている人であっても完全に自給自足で生活している人はおそらく存在しません。
宅配便で荷物が届くこともあれば、自分で買い物に行くこともあり、どんなに山奥で暮らしていても世の中との繋がりは必ずあるのです。
誰しも少なからずのお金を持っていて、お金を稼ぎ、そしてお金を使うという行動を繰り返していますが、お金が必要であるという時点でいろんな人と繋がっているのです。
社会が無ければ生きていくことが出来ない私達にとって、社会がうまく機能していることが大切で、自分の生活にも関わってくるのですから、社会と上手に付き合っていく必要があります。
社会と上手に付き合っていくには、自分の事しか考えない利己主義ではなくて、他人の事を考える人が必要なのです。
家庭崩壊
家庭と言う場所は家族が居て共に暮らす場所ですが、今の世の中家庭の中で利己主義全開という人のせいで、家族が大いに迷惑している、家庭崩壊寸前で夫婦であれば離婚を考えているという深刻な問題になっています。
家族で抱えている悩みで最も多いのが「ご主人の利己主義」です。
俺が稼いできたお金なんだから文句を言うな!のようなパターンで、他には
- 自分の意見に従わせる
- 間違った意見を改めない
- 暴力を振るう
- 家族にお金を渡さない
- 自分のためだけにお金を使う
- 家族のことを全く考えない
などのことがとても多く、利己主義の人は他人の意見を全く聞こうとしないし、自分の意見を押し通すためには暴力も使うので、どうにも出来ないということで家族の者が困っているのです。
奥さんが利己主義の場合には
- 遊んでばかり
- 家事を全くしない
- 育児放棄
- 家に居ない
- ゴミ屋敷
などのことで家族の者が困っているのです。
最も信頼出来る者同士が一つ屋根の下で暮らす家族の中で利己主義の人が一人でも居れば、他の者は大変に迷惑を被ることになり、信頼関係が崩れ去ってしまうのです。
利己主義の結末
自分さえ良ければそれで良い、自分の事しか考えない利己主義は地獄や餓鬼の世界に通じるものであり、平和が訪れるようなことは決してありません。
地獄の世界に通じる利己主義
自分の利益や楽しみを邪魔する者には消えてもらう、自分の権利のためには人を傷つけても構わない、どうしても欲しい物は盗んででも手に入れる、このような行為は地獄に通じる行為であり、仏教では禁止されている行為です。
地獄の世界は生き物の生まれ変わり死に変わりの六道の世界の中でも三悪趣と言われる世界の一番低い世界のことです。
三悪趣とは 三悪趣とは仏教に於いて、生前中に悪行を為した人間が行くと言われている三つの転生先で、地獄道、餓鬼道、畜生道の低い世界のことてす。
自分の事しか考えず、知らないうちに人を傷つけるような行為も結果として同じことで、地獄に通じることになります。
仏教の出家者の戒律である十善戒の中でも不殺生、不偸盗を破るような行いはくれぐれも慎みましょう。
家庭の中では自分の意見を押し付けるために暴力を振るう事、会社では自らの出世のために人を不幸のどん底に陥れる人、国家では他国の土地を略奪するために住人を殺害すること、などの行為が該当します。
餓鬼の世界に通じる利己主義
餓鬼の世界の住人は常にお腹を空かせていて食べる物を探してばかりいるのですが、食事のマナーが悪い人の周囲には何時も餓鬼が待っていて、食事中に落とした食べ物があれば餓鬼同士で奪い合いが始まります。
自分が食べる事しか考えられないので、傷つけ合っても平気で奪い合い、やっと得た食べ物を口に入れようとした瞬間に炎が出て燃えてしまうのです。
必要以上に物をため込んだり、人に施すことをしない人も餓鬼の世界に通じています。
自分の事しか考えられない人や人の物を奪っても平気な人の行き先は餓鬼の世界です。
地獄や餓鬼の世界から抜け出す方法
地獄や餓鬼の世界から抜け出すには今すぐ利己主義を止めて、自分だけの幸せではなくて相手の幸せのことを考えるべきです。
毘沙門天信仰の中では相手の幸せを考えると言う実践は利他行と言われ、他を利益する修行法です。
毘沙門天は妃の吉祥天と子の善膩師童子(ぜんにしどうじ)を含めた家族の神であり、相手を尊重し、相手の幸せを願うことを説いて居られるのです。
利他行は家族の中で実践することが一番分かり易い方法で、夫は妻の幸せのため、妻は夫の幸せのため、そして親は子の幸せのために願い、祈り、行動することなのです。
家族の中で利他行を実践すれば家庭が円満になります。
国全体で利他行を実践すれば平和になるのです。
もう一つ大切な事は施すことで、特に困った人への施しは功徳になります。