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忿怒尊(ふんぬそん)とは
忿怒尊とは密教の明王などの、悪を払い調伏して仏法に導くために、怒りの表情で威圧する神仏のこと。
忿怒尊の役割
仏の種類には悟りの度合いによって「如来」「菩薩」「明王」「天部」に分けられ、悟りを得た如来は安楽の世界に居るので穏やかな表情をしているのですが、明王や天部は武器を持ったりドクロを首から下げたりの恐ろしい顔をしていることが多いことに気が付きます。
密教では大日如来の化身としての明王が存在し、仏教に反する悪業を行なう衆生を調伏する役目を果たしています。
優しい言葉や態度では調伏することが出来ない衆生に対して、恐ろしい姿と忿怒の形相で現れて、力づくで強引に仏法の世界に引き込もうとするのが明王などの忿怒尊なのです。
忿怒の明王
明王の「明」は「真言」「呪文」の意味があり、明王とは「呪文の王者」という意味になり、密教特有の神で、仏教に反する悪業を行なう衆生を調伏するために忿怒の形相をしています。
五大明王
五大明王は大日如来の化身として、不動明王を中心として東西南北それぞれの方角を守護する「不動明王」「降三世明王」「軍荼利明王」「大威徳明王」「金剛夜叉明王」のこと。
北方の守護者は真言宗では金剛夜叉明王、天台宗では烏枢沙摩明王となっています。
不動明王
方位方角の中でも中央を守護する不動明王は、大日如来の教令輪身とされます。
降三世明王
方位方角の中でも東方を守護する…降三世明王は、阿閦如来の教令輪身とされます。
軍荼利明王
方位方角の中でも南方を守護する軍荼利明王は、宝生如来の教令輪身とされます。
大威徳明王
方位方角の中でも西方を守護する大威徳明王は、阿弥陀如来の教令輪身とされます。
金剛夜叉明王
方位方角の中でも北方を守護する金剛夜叉明王は、不空成就如来の教令輪身とされます。
大元帥明王
大元帥明王はインド神話における鬼神「アータヴァカ」であり、弱者を襲って食べていたが、大日如来の調伏によって善神となったのです。
愛染明王
愛染明王は金剛薩埵(Vajrasattva)の化身で、通常は17尊、時に37尊を眷属とします。
菩提の仮の姿が愛欲であるとし、愛欲を超えた菩提へと導く神。
孔雀明王
孔雀明王はサンスクリット語でマハーマーユーリー(Mahāmāyūrī)と言い「偉大なる孔雀」の意味で、猛毒の蛇を食べる孔雀を神格化したと言われます。
烏枢沙摩明王
烏枢沙摩明王は古代インド神話において元の名を「ウッチュシュマ」と言い、「アグニ」と呼ばれる炎の神の由来を持ち、この世の一切の汚れを焼き尽くすことから「不浄を浄に変える神」として崇められています。
我が国ではトイレの神としても有名です。