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過去帳とは
過去帳とは亡くなった人の俗名、戒名、没年月日、享年などを記載した帳面のことで、仏具として仏壇の中に置かれ、故人の命日の供養などに使われます。
寺院にある檀家の死者の情報を記入した大きな帳面も過去帳と言います。
過去帳の種類
過去帳は経本のように折り込んである折本と書籍のような和本とがあり、折本が主流となっていて、位牌の中に入れる場合は過去帳位牌と呼ばれます。
過去帳の中は縦書き用のマス目が引いてあって、そのマス目の中に故人の戒名や没年月日などを書き入れます。
過去帳を開いた時に上の方に1日から31日までの日付が入っている形式と、或いは日付の無い形式があります。
日付のある過去帳
過去帳を開いた上の方に1日から31日までの日付が入っているのは、故人の亡くなった日の欄に戒名などの情報を書き込むことにより、日めくりの暦のように毎日めくっていけば、その日が命日である故人が出てきますので、命日の供養が出来るようになっています。
日付のある過去帳は命日供養をするための過去帳なのです。
命日は亡くなった日のことですから、亡き人を思い出す日でもあり、亡き人にとってはこの世を去り、あの世に旅立った特別な日でもあるのです。
日付の無い過去帳
開いた時に日付が無く、マス目だけがある過去帳は、空いたところに最初から順番に書いていくもので、大体に於いて亡くなった日付が古い順番になっていますが、たくさんの御先祖様が書かれているような時には一つの見開きのページに夫婦を並べて書くようになっていることが多いです。
過去帳は誰が書く
過去帳は僧侶が筆で書くのが通例で、書くと同時に魂を入れるための開眼供養も行うことになります。
一般的な位牌と同じで礼拝の対象となるものですし、何時までも残り続けるものですから、筆を使って一字も間違えることなくバランスの良い綺麗な字で書くには、位牌を買った仏具店に持込むという方法もあります。
もちろん仏具店の人が書くのではなく、メーカーに送って専門の人に書いてもらうのですが、後世にまで残るものですから、専門の人に書いてもらえば安心で、見栄えというものは大切なものです。
供養のために自分で書いても構いませんので、自分で書く時には鉛筆で下書きしてからその上からなぞるように筆書きすれば間違えることがありません。
いずれにしても僧侶に開眼供養してもらうことを忘れないようにしましょう。
過去帳の開眼供養
過去帳は亡き人の霊の依り代としては普通の位牌と同じであり、礼拝の対象になりますので、新しく作成したり新たに書き込むようなことがあれば、僧侶に開眼供養してもらいましょう。
亡くなった人の四十九日の納骨の法事に合わせて書き込み、法事の時に僧侶に拝んでもらうようにするのが理想です。
古い位牌がたくさんあって仏壇に入らなくなった時には過去帳位牌に作り直せば一つの位牌だけになりますので、仏壇の中がとてもすっきりして掃除もしやすくなります。
過去帳が不要になったら
過去帳は家の先祖の歴史を示す家系図のようなものですから、ある程度の年齢になったら後継者に渡すことが理想であり、もし後継者が居なければ処分することになります。
過去帳の処分
過去帳は僧侶に魂を抜いてもらう閉眼供養をすれば、材質が和紙で出来ていますので可燃ごみとして捨てることが出来ますし、捨てても問題ありませんが、礼拝の対象として大切にされてきたものだけに気持ち的に恐れ多いと思うのでしたらお焚き上げ供養が良いでしょう。
過去帳のお焚き上げ
過去帳は御先祖様の生きてきた証であり、供養を通して子孫である私達と繋がることが出来る依り代でもあります。
ずっと大切にされてきたものだけに、もし次に渡す人が居なくなってしまった時には、御先祖様に感謝の気持ちを手向けつつ綺麗にお片付けさせて頂きましょう。
お焚き上げ供養は感謝の気持ちで天にお還しする供養です。
先祖の代から大切にされてきた仏壇や位牌を次の者に引き継ぐことなく終わらせてしまうことは、とても心苦しい事ですが、自分自身と御先祖様の両方が納得出来る方法がお焚き上げ供養なのです。