阿閦如来とは
阿閦如来は東方国土で如来として説法し、十三仏としても七回忌を担当していて死者の案内役をしています。
阿閦如来の由来
阿閦如来は梵名アクショーブヤ(अक्षोभ्य [Akṣobhya])と言い、不動、無動、無瞋恚、無怒などと訳されますが、漢訳仏典では阿閦婆などと音訳されることから、言葉自体に特別な意味はなさそうです。
東方の阿比羅提(あびらだい)という国に現れた大目如来の元で無瞋恚・無婬欲の請願を立てて修行して如来となり、現在も東方世界で説法をしている如来です。
阿閦如来の姿
阿閦如来は左手は衣服の端を握り、右手は指を下に伸ばす降魔印(ごうまいん)を結んでいますが、降魔とは恐怖や誘惑に打ち勝つ強い心を表わしており、悟りを求める強い心を持っておられるのです。
密教の阿閦如来
密教における阿閦如来は、金剛界五仏の一として表現されています。
金剛界曼荼羅では大日如来を中心として東西南北に大日如来の四つの智慧を表す阿閦如来、宝生如来、阿弥陀如来、不空成就如来が配置されていますが、大日如来の東の方角で、智慧としては大円鏡智(だいえんきょうち)を具現化したものとされます。
大円鏡智は知識や経験とは無縁の純粋な心で、鏡のようにありのままを映し出す清らかな心のことです。
発菩提心、悟りをめざす心を持った阿閦如来が着ている衣を握っているのはその決意の強さを表します。
十三仏の阿閦如来
アクショーブヤとは「揺るぎない」という意味で、悟りの境地が金剛のように硬くて揺るぎないことを示します。
死後の世界の案内役としての十三仏としては阿弥陀如来の次に来る仏であり、大日如来の前に来る仏なのです。
七回忌まで来てもまだ救われない人は、揺るがない決意で悟りを求める真剣さが無ければ救われる方法はないということです。
十三仏とは人の死後33年間までを案内する仏のことで、死後の世界の裁判官として中国で古来より信仰されていた十王の思想が発展したと言われています。
阿閦如来は人の死後七回忌を案内する仏になります。
- [十三仏] [裁判官] [法事] [命日から]
- 不動明王 秦広王(しんこうおう) 初七日 7日目、6日後
- 釈迦如来 初江王(しょこうおう) 二七日 14日目、13日後
- 文殊菩薩 宋帝王(そうていおう) 三七日 21日目、20日後
- 普賢菩薩 五官王( ごかんおう) 四七日 28日目、27日後
- 地蔵菩薩 閻魔王 (えんまおう) 五七日 35日目、34日後
- 弥勒菩薩 変成王 (へんじょうおう) 六七日 42日目、41日後
- 薬師如来 泰山王( たいざんおう) 七七日 49日目、48日後
- 観音菩薩 平等王 (びょうどうおう) 百か日 100日目、99日後
- 勢至菩薩 都市王 (としおう) 一周忌 2年目、1年後
- 阿弥陀如来 五道転輪王(ごどうてんりん) 三回忌 3年目、2年後
- 阿閦如来 蓮華王 (れんげおう) 七回忌 7年目、6年後
- 大日如来 祇園王 (ぎおんおう) 十三回忌 13年目、12年後
- 虚空蔵菩薩 法界王( ほうかいおう) 三十三回忌 33年目、32年後
阿閦如来信仰
阿閦如来は単独で信仰されることが少ない如来ですが、十三仏に出てくるぐらいですから、是非とも御縁を頂きたいもので御座います。
阿閦如来の功徳
揺るぎない強い心を持ち、鏡のようにありのままを映し出す心を持てば全ての物の真実の姿が見えてきて、真偽が瞬時に分かり、正しい判断が出来るようになります。
迷いの多い時に阿閦如来の力を頂くことが出来れば迷いの霧が一瞬にして晴れてきます。
阿閦如来の真言
阿閦如来の真言は
- オン・アキシュビヤ・ウン
阿閦如来の印
左手はこぶしを握って臍(へそ)の前に置き、右手はひざから下に垂らし、その指先で大地を指す不動降魔印です。