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歳神とは
歳神は年神、大年神、歳神などと言われ、日本古来の神道の神です。
歳神は来訪神
来訪神は年に一度、決まった時期に人間世界に来訪する神のことで、鹿児島県薩摩川内市甑島のトシドン、秋田県男鹿市のナマハゲ、鹿児島県十島村悪石島のボゼなど10件の「来訪神」がユネスコの無形文化遺産に登録されることになりました。
来訪神についてもっと詳しく…来訪神とは
お盆や節分、旧正月などにやってくる来訪神の中でも歳神は毎年正月に家にやってくる来訪神であり、地方によってお歳徳(とんど)さん、正月様、恵方神、大年神、大歳神、年殿、トシドン、年爺さん、若年さんなどと呼ばれます。
お正月に宝船に乗ってやってくる七福神も来訪神であり、縁起の良い神様です。
七福神は恵比寿、大黒天、毘沙門天、寿老人、福禄寿、弁財天、布袋尊で7人揃って様々な福を授けるのですが、その中でも毘沙門天は単独でも歳神としての役割を持っています。
歳神は実りの神
我が国で稲を栽培する農耕文化が始まって以来、田の神が崇拝され、植え付けから栽培、収穫に至るまでを司る神が災いを防いで恵みをもたらしてくれるようにと丁重に祀られてきたのです。
時に天候の不順や天災などで作物の出来が良くなければ多くの人が餓死するような時代が長く続いたのですから、米の不作は神の怒りと捉え、神が怒ることの無いように祈念し、豊作の時には神に感謝することで、全てが神頼みだったのです。
歳神は祖先の霊
我が国には八百万の神が居ると言われているように、無数の神々が存在し、明確な分類がされていないことや、山川草木悉皆成仏の思想のように、何処にでも仏がいて仏性を宿しているという考え方が古くから定着していた中で、家を守る神と田を守る神は、どちらも山から下りてくることから同じ神と考えられていたようです。
歳神は歳徳神
中世より方位学に歳徳神が取り入れられて、暦には女性神として描かれているが、年盤の中で歳徳神がいる方向が吉方位「恵方」と言われて、特に近年では恵方巻と言う巻きずしを恵方の方角に向かって食べると言う習慣が定着してきました。
歳神と神話
神道では素戔嗚尊(すさのおのみこと)とその妻である神大市比売(かむおおいちひめ)との間に生まれた大歳神(おおとしのかみ)、そして大年神の子である御歳神(みとしのかみ)が歳神とされることが多いです。
歳神を祀る神社
大年神、御年神を祀る神社は全国にたくさんありますがその一部を紹介しますと、
*下谷神社(東京都台東区)
*静岡浅間神社内の大歳御祖社(静岡県静岡市)
*飛騨一宮水無神社(岐阜県高山市)
*葛木御歳神社(奈良県御所市)
*大和神社(奈良県天理市)
*朝熊神社 (三重県伊勢市)
*大歳神社(山口県下関市)
歳神の迎え方
歳神は年に一度、誰の家にでもやってくる来訪神であり、皆さんが普段何気なくお正月を迎える準備をしていることが歳神様を迎えることなのです。
歳神を迎える準備
古い習慣によりますと、正月始めは12月の8日もしくは13日から正月の準備を始めるのですが、皆さんが実際に大掃除をしたりお正月の準備をするのは年末ギリギリになってからだと思います。
新年を迎えるための正月の飾り物は30日までには準備を終えて、29日には苦飾りと言い、31日には一夜飾りと言われて忌み嫌われています。
門松
門や玄関に置く門松は歳神の依り代と言われ、歳神が天から降りて来るための目印になります。
地方では松や竹などを山から調達して自作している所が今でもあり、飾り方や内容については地域によって違いがあります。
また大きな家では大きな門松を作るような習慣が今でも残っています。
最近ではマンション暮らしの人が増えて、また一軒家でも洋風の家が増えましたので門松を見ることが少なくなりました。
門松についての詳しい説明は…門松は歳神が降りてくる依り代
しめ縄
しめ縄は不浄や穢れが入らぬように結界する意味があり、結界を張ることで歳神様が居る空間を清浄に保つことが出来るのです。
鏡餅
鏡餅は歳神が降りてきて家の中での依り代となり、鏡は三種の神器の八咫鏡にもあるように、ご神体であって、その丸い形から鏡として扱われ、また餅が米から出来ていることから収穫への感謝の気持ちとしても祀られるのです。
鏡餅は床の間や神棚に飾り、正月が明けるまでの期間歳神様が家に居ると言われています。
鏡餅は正月の期間お祀りして、鏡開きとして11日の日に下げて汁粉や揚げ餅などにして皆で食べ、歳神様の力を頂くのです。
おせち料理
おせち料理は元々歳神様への御供え物だと言われていますが、お供えしたそのお下がりを頂いていると考えればとても有難いものです。
おせち料理には縁起の良いものが詰め合わされていることから、家族の者の健康や長寿、幸福などの願いが込められています。
歳神様の送り方
歳神様は正月から松の内まで居るとされますので、松の内が済めばお送りするのです。
松の内とは
我が国には松の内を1月の7日までとする地域と15日までとする地域がありますので、その地域の風習に従うということになります。
どんど焼き
小正月の15日頃に全国の至る所でどんど焼き、どんと祭り、左義長などと言われる行事にて、歳神様をお迎えした門松やしめ縄などを焚き上げて天にお返しし、その火と煙に当たることで厄払いとなり、どんど焼きの火で焼いた餅や団子を食べたり、灰を持ち帰って家の周りに撒いたりします。
どんど焼きの詳細については…どんど焼き、どんと祭り、左義長について
皆さんの住む地域にこのような行事があれば是非参加してみて下さい、またやすらか庵ではお正月飾り限定の特別企画もあります
1月限定企画です…1月限定-正月飾りお焚き上げ1,000円
通常のお焚き上げ供養をご利用されて、中にお正月飾りを一緒に入れて頂いても結構です。