善行とは
善行(ぜんこう、ぜんぎょう)とは良い行い、道徳に叶った行いのことで、仏教では戒律を守った正しい行いのことです。
戒律を守れば善行になる
戒律とは仏教の規律のことで「戒」は自発的に規律を守る誓いで守らなくても罰則が無く「律」は僧の集団のルールで守らなければ罰則があります。
五戒を守る
五戒は在家の人が守るべき戒です。
五戒は五つの戒から成り立ち、最も重要度の高い順から並びます。
- 不殺生戒(ふせっしょうかい)…生き物を故意に殺してはならない
- 不偸盗戒(ふちゅうとうかい)…他人のものを盗んではいけない
- 不邪婬戒(ふじゃいんかい)…不道徳な性行為を行ってはならない
- 不妄語戒(ふもうごかい)…嘘をついてはいけない
- 不飲酒戒(ふおんじゅかい)…酒類を飲んではならない
五戒を元にした善行の内容は次のようになります
- 不殺生戒(ふせっしょうかい)…生き物を慈しみ、命を大切にする
- 不偸盗戒(ふちゅうとうかい)…困った人に施す
- 不邪婬戒(ふじゃいんかい)…お互いに尊重し合う男女関係
- 不妄語戒(ふもうごかい)…正しい言葉、安らぐ言葉、癒される言葉で真実を語る
- 不飲酒戒(ふおんじゅかい)…酒を飲まない、人にすすめない
たとえば不殺生戒は「生き物を故意に殺してはいけない」という戒ですが、これを守りながらもう一段階進めて積極的な行いにしたら「生き物を慈しみ、命を大切にする」という善行になるのです。
十善戒を守る
十善戒とは仏教に於ける十悪を否定する形にした戒律のことです。
- 不殺生(ふせっしょう)…生きものを殺さない
- 不偸盗(ふちゅうとう)…盗まない
- 不邪淫(ふじゃいん)…淫らな行いをしない
- 不妄語(ふもうご)…嘘をつかない
- 不綺語(ふきご)…お世辞などを言わない
- 不悪口(ふあっく)…悪口を言わない
- 不両舌(ふりょうぜつ)…二枚舌を使わない
- 不慳貪(ふけんどん)…むさぼらない
- 不瞋恚(ふしんに)…怒らない
- 不邪見(ふじゃけん)…間違ったものの見方をしない
十善戒を元にした善行の内容は
- 不殺生(ふせっしょう)…生きものを慈しみ、命を大切にする
- 不偸盗(ふちゅうとう)…困った人に施す
- 不邪淫(ふじゃいん)…お互いに尊重し合う男女関係
- 不妄語(ふもうご)…正しい言葉、安らぐ言葉、癒される言葉で真実を語る
- 不綺語(ふきご)…利害関係に捉われることなく真実を言う
- 不悪口(ふあっく)…相手の良い所を称賛する
- 不両舌(ふりょうぜつ)…相手の良い所を他の人に伝える
- 不慳貪(ふけんどん)…自らは小欲知足、人には施す
- 不瞋恚(ふしんに)…慈悲の心で相手に接する
- 不邪見(ふじゃけん)…常に正しい判断、見方をする
善行に決まりは無い
そもそも善行とは善なる行いのことですから、善であれば何でも良い訳で、目の前のゴミを拾ったり掃除をしたり、散らかっている場所を片付けることも善行で、電車に乗っていてお年寄りの方に席を譲ることも善行なのです。
菩薩の修行としての利他行は他の利益のために尽くすことであり、他の苦しみを取り除いて楽を与える抜苦与楽の実践こそが仏教的な善行ですから、戒律を守ることは当然であり、その上に私達の目の前に与えられた課題に対して、どう対処するかで決まってくるのです。
目の前に与えられたことは全て神仏から与えられた課題であり試練であり、善なる心で相手の幸せを願い、誠心誠意の対応をすれば良いのです。
ここで気を付ける事は、相手からの見返りを期待しも要求してもいけないということなのです。