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柴燈護摩とは
柴燈護摩(さいとうごま)とは屋外に護摩の祭壇を築き、儀式を行って場を清め、仏菩薩を招いて点火して天下泰平、五穀豊穣、家内安全などを願う護摩供養で、修験道や密教の行者が自らの行として修法し、寺院の行事として修法することもあります。
大柴燈護摩供(だいさいとうごまく)、柴燈護摩供(さいとうごまく)とも言います。
柴燈護摩の歴史
最初に柴燈護摩を行ったのは真言宗開祖の空海の孫弟子にあたる聖宝理源大師が行ったとされ、聖宝は847(承和)年、真雅(しんが)を師として出家し、三論、法相、華厳などの南都教学を修めて874(貞観16)年に醍醐寺を創建しました。
聖宝は四国や吉野、金峯山などの霊山名窟で修業を重ねて優れた霊力を持ち、聖宝によって始められた柴燈護摩は醍醐寺を始めとした真言宗当山派修験道の法流を継承する寺院で行われていることが多いようです。
柴燈護摩に「柴」の字が使われる所以は山伏が山中の修行中に行う護摩が、真言密教の様々な荘厳具を用いることが出来ないので、簡単に集めることが出来る柴や薪を集めて壇を築くことによります。
柴燈護摩の目的
護摩には屋内で焚く護摩と屋外で焚く護摩があります。
屋内で焚く護摩は換気設備の整った護摩堂内で護摩壇に行者が座って行うことが主流で、行として行う時には一人で行い、加持祈祷として行う時には横に伴僧が付いて太鼓を叩き、後ろに信者が座ります。
屋外で焚く護摩の場合には広い場所で複数の行者が行うことが多く、修験道では行者が自らの煩悩を焼き尽くす行として行い、その行者を支援している人への祈願としても行います。
密教が国家祈願の役割を果たしていた時代もあることから、国家安穏、天下泰平などの目的を持つこともあります。
また仏教の寺院行事であり、仏教行事の中でも活気があって華々しいことから、本堂の落慶法要として、或いは大祭のメイン行事として行う寺院もあり、多くの人の参拝で賑わう行事でもあります。
柴燈護摩には参加出来ると言う楽しみがあり、火渡りやお加持などの御利益を受けるということ、そして大きな護摩であるほど大きな煙と火が上がり、自分達の願いが天に昇って行くと言う臨場感と迫力は人々に感激を与えます。
柴燈護摩の楽しみ方
柴燈護摩は寺院での落慶法要や大祭などの祝賀行事として行われることが多く、屋外で行われるので誰でも気軽に参加できるという特徴があります。
柴燈護摩の流れ
柴燈護摩の大まかな流れは
行者入場
山伏一行が行列して法螺貝を鳴らしながら入場し、導師は護摩壇に結界を張る
法斧の儀
行者が振り下ろす斧によって東方、南方、西方、北方、中央の穢れを祓い、護摩供養の間、御本尊に結界内を守ってもらう
法弓の儀
行者が天上に放つ弓矢によって東方、南方、西方、北方、中央の穢れを祓い、護摩供養の間、御本尊に結界内を守ってもらう
矢は実際に放たれますので、頂いてよいことが多く、開運の矢として奪い合いになります。
法剣の儀
行者が振り下ろす剣によって東方、南方、西方、北方、中央の穢れを祓い、護摩供養の間、御本尊に結界内を守ってもらう
柴燈護摩供養
護摩壇に点火して太鼓や錫杖を使っての般若心経、不動明王真言などを唱え、護摩木を投入する
火渡り
護摩が終了したら灰を均して行者を先頭に参列者も灰の上を歩き、無病息災などを祈願する
護摩の火と煙に当たろう
護摩の火と煙は厄払いにもなって諸悪を祓い清めますので、当たれば有難いものとされ、護摩の火の中に不動明王が現れたり龍が現れたりすることがあり、見た者は幸運が舞い込むと言われています。
一緒に読経しよう
般若心経や不動明王の真言などは覚えておけばこういう時に役に立つものです。
行者の太古や錫杖、法螺貝の鳴る中での読経は参加している人が皆、知らず知らずの内に一緒になって唱えているのです。
御本尊を前にした柴燈護摩の燃え盛る火を目の前にして、たくさんの人の祈りが一つにまとまることを感じる瞬間はまさに法悦と言えるものです。
護摩木を祈願してもらう
柴燈護摩では願い事を書いた護摩木を行者が祈願して焚いてくれることが多いので、護摩木の祈願がある場合には護摩木を買って願い事を書き入れ、護摩供養してもらえばその場で焚き上げてもらえるので願い事がすぐに叶いやすいです、是非利用しましょう。
密教系の寺院や山伏で行われる柴燈護摩では、場合によっては行者が背中を錫杖でさすってくれたりの加持してくれることもあるので、人気の行者には人だかりが出来ます。
火渡りに参加しよう
護摩の後に灰を均してその上を裸足で歩いて渡る火渡りをする所もあり、正式には「火生三昧耶法」(かしょうさんまやほう)といい、火渡りをすると無病息災が叶うと言われ、護摩の灰は持ち帰って家の周りに撒けば厄除けになるとも言われます。
柴燈護摩とお焚き上げ
修験道は山中を歩いて修行し、大自然の力を体得することから、屋外で護摩を焚くことは諸仏諸菩薩の加護を得るためにも重要な修行なのです。
しかし実際の柴燈護摩は寺院の檀信徒向けの行事として、他の行事との組み合わせで行われることが多いようです。
柴燈護摩の時に御札や御守などなどをお焚き上げすることもあることから、お焚き上げとは密接な関係にありますが、順番としては柴燈護摩の後にお焚き上げをすることになります。
また柴燈護摩の後にお焚き上げをするような場合には、お焚き上げの品が多いような時には火渡りの行事は行いません。
お焚き上げを同時にするかどうかは寺院の都合によります。
柴燈護摩の本尊
屋外で護摩木を焚いて加持祈祷する柴燈護摩は本尊として不動明王を本尊として修法することが多く、大日如来の化身と言われる不動明王は火炎を背にして魔を払い、悪を焼き尽くす本尊として祀られます。
お焚き上げ供養との関係
柴燈護摩は本来は行者が自らの修行として修法することを思えば行者の修行法ですが、自己のためだけではなくて相手の幸せのために行うことも仏法の実践であると思えばお焚き上げ供養と同じであり、相手の幸せが仏法に基づくものであることが大切であり、真の幸せになって頂ける様祈願するのも行者の務めではないかと思います。