調伏とは

毘沙門天の邪鬼

調伏(ちょうぶく)とは調和制伏の意味を持つ仏教用語で、内なる心の中を調え外なる敵を教化して悟りへの障害を取り除くこと、或いはその修法のこと。

調伏法とは

火の効用

調伏法とは密教に於いて怨敵や鬼神、魔障などを降伏する修法のこと。

不動明王降三世明王軍荼利明王大威徳明王金剛夜叉明王などの忿怒明王を本尊として修法し、護摩の目的を五種に分けた五種護摩法である

  • 息災法(そくさいほう)…災害が無いことを祈る
  • 増益法(そうえきほう)…災害を除き幸福を増加させる
  • 調伏法(ちょうぶくほう)…怨敵や魔障などを降伏
  • 敬愛法(けいあいほう)…他を敬い愛する
  • 鉤召法(こうちょうほう)…善神や自分の愛する者を召し集める

の一つの修法です。

調伏の目的

邪鬼

仏教では悟りを邪魔する敵を心の内面に於いて自らの中から湧いてくる者と外から攻めてくる者であると説き、仏法の修行をする者にとって、心の内面の魔障に心を惑わされないこと、更には外敵を降伏させ仏法に引き入れることが修行となるのです。

密教の曼荼羅には大日如来を中心として仏・菩薩・明王・や魔神や鬼神などを含む多くの神々が描かれていますが、全ての者が必要な役割を演じていて無駄な者など無く、たとえ悪事を働いていた鬼神でさえも仏法に教化されて善神としての役割を果たしているのです。

毘沙門天の足元に踏まれている邪鬼にしてもかつては悪事を働いていた鬼神であり、毘沙門天に教化、調伏されて善神となり、毘沙門天の使いとなったのです。