八斎戒とは
八斎戒とは仏教の在家信者が出家者に倣って一日だけ守る特別な生活規律のこと。
八斎戒を行う日
在家の信者が毎月6日間、一日中行います。
八斎戒を行う6日間は、8日、14日、15日、23日、29日、30日で、これらの日のことを六斎日(ろくさいにち)と言います。
八斎戒は絶対ではありませんが、自主的に守る戒とされ、仏法を意識するための特別な日です。
在家の戒ですから守らなくても罰則はありません。
八斎戒の内容
八斎戒は在家の五戒が基本になっていますが、五戒の中の「不邪淫戒」が「不淫戒」となり、他に身を慎んで過ごすための追加項目があって八つの戒になっています。
- 不殺生戒…殺さない
- 不偸盗戒…盗みをしない
- 不淫戒…性交を行わない
- 不妄語戒…嘘をつかない
- 不飲酒戒…酒を飲まない
- 不得過日中食戒…正午以降は食事をしない
- 不得歌舞作楽塗身香油戒…歌舞音曲を見たり聞いたりせず、装飾品、化粧・香水などで身を飾らない
- 不得坐高広大床戒…地面に敷いた臥具だけを使い、贅沢な寝具や座具でくつろがない
八斎戒の目的
八斎戒は在家の信者が普段守る戒律を更に厳しくすることにより、出家者の修行の厳しさが分かると共に出家者を敬い、煩悩から離れて身を清め、仏陀の悟りに近づく努力をする一日を過ごすことが大きな目的です。
「不邪淫戒」が「不淫戒」になることで、清らかな身を保ち、食べたり飲んだり歌ったりなどの娯楽や日常の楽しみを断つことで静かな心を保ちます。
在家の信者は普通の生活をしながら仏教に帰依するのですから、出家者のような厳しい生活は出来ませんが、時々こういう日があることでメリハリの付いた仏教に根差した生活が出来るのです。
身を清めること
私達は物に溢れて豊かになった日常の生活の中で案外、身を汚すようなことばかりしていて、更には煩悩にまみれてしまい、物は豊かになったけれど心は貧乏になっていることに気が付きます。
身の回りには物がたくさんあって便利で快適な暮らしをしているにも関わらず、心が寂しい、物足りないと感じている人が実に多いのです。
私達の真の意味での豊かさは、物の豊かさではありません、心の豊かさなのです。
それではどうすれば心が豊かになるのでしょうか。
それは執着心を捨て去ること、そして自分のためではなくて他のために尽くすこと、利他行の実践なのです。
テレビを見ていても歌ったり踊ったりすることで楽しくなりますし、夢中になることが出来ます。
しかし少しでも不幸があったり体の調子が悪くなったりすれば、楽しいテレビや映画など見ても、全然楽しくないのです。
そういう時に本当の心の豊かさって何だろう、と考えるとこれまで経験した楽しみではないことに気が付くのです。
心の豊かさは実は「ごく普通に生きていること」や「この世に生まれてきたこと」などに感謝できる心を感じた時に心の底から湧き出てくるものです。
「生きてて良かった」と心の底から涙があふれ出てくることはあるでしょうか。
普段そういうことは無いと思います。
しかし不治の病になって医者から見放され、死を覚悟してあの世に行きかけたけれど、何故かしら戻ってきたようなことがあれば、この世の世界の有難味が心の底から分かり、生きていること、そして生まれてきたこと、そしてそれらを動かしているであろう大いなる力を感じたらもう、ただひたすらに有難い気持ちに浸ることが出来るのです。
私達は少しでも魂のレベルを高めていく修行が必要です。
八斎戒はそういったことを教えてくれるのです。