大威徳明王とは

大威徳明王のイラスト

大威徳明王は仏の世界では明王と呼ばれる大日如来の化身であり、五大明王と言われる仏は不動明王を中心として東西南北に配置される明王の中でも西方に位置する仏です。

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五大明王の配置

五大明王の配置は不動明王を中心として次のようになります。

大日如来が導き難い相手に対して忿怒尊の姿をとることを「教令輪身」と言います。

北方の守護者は真言宗では金剛夜叉明王、天台宗では烏枢沙摩明王となっています

大威徳明王の特徴

大威徳明王は手と足が多く、牛に乗っています。

6面、6臂、6足

顔は6つあって正面と左右の身体に3つ、そしてその頭の上に更に小さい顔が一つずつ乗っていますので、全部で6つの顔があります。

足と手は3つの身体にそれぞれ2本ずつですから、6本です。

6つの顔は六道地獄餓鬼畜生阿修羅人間天界)をくまなく見渡すためにあり、6本の手は法具や武器を取って悪と戦うためにあります。

6本の足は大乗仏教に於ける6種類の修行項目である六波羅蜜布施持戒忍辱精進禅定智慧)を怠けず歩き続ける決意を表しています。

六波羅蜜とは

  • 布施(ふせ)…人に金銭や労力、安心、法などを施すこと
  • 持戒(じかい)…戒律を守る
  • 忍辱(にんにく)…侮辱・迫害に耐えて人を恨まない
  • 精進(しょうじん)…目標に向かって進んで行くこと
  • 禅定(ぜんじょう)…座禅の集中した心の状態
  • 智慧(ちえ)…真実を見極める眼を持つこと

表情は

大威徳明王の表情のイラスト

顔の表情は忿怒尊で、とても怖い顔をしていて、更に眉間の所に眼がもう一つありまして、この眼は第三の眼であり真実を観るための眼で、睨まれたら怖そうです。

仏法を軽んじたり仏の言う事を聞かない人に対しては怒りで導くのが仕事ですからとにかく怖い顔をされています。

乗り物

牛のイラスト

大威徳明王の乗り物は牛ですが、インド辺りで居るような水牛です。

大威徳明王が水牛に乗るには訳があり、それはインドでは牛が神様の使いであるからですが、実はもう一つの深い理由があるのです。

それは長い修行を続けて来て、もう少しで悟りを開く所まで来ていた、とある修行僧が修行中に盗賊に襲われ、傍に居た水牛と共に首をはねられられたという出来事に由来します。

悟りを得る寸前に命を絶たれてしまった修行僧は、その悔しさから、すぐ傍に落ちていた水牛の首を自らの胴体につなげると自分と水牛を襲った盗賊達を皆殺しにして悪鬼になりました。

盗賊達を殺しても怨念が収まらない悪鬼は、ついに何の関係もない村人たちをも襲い始めて荒れ狂い、その悪行に困り果てた村人達が助けを求めたのが文殊菩薩でした。

文殊菩薩は悪鬼と同じ姿に身を変えて最強の武器を持ち、戦いを挑んで悪鬼を倒すことに成功した、その姿が大威徳明王(ヤマーンタカ)と言われています。

ヤマーンタカ【यमान्तक:yamaantaka】とは「夜摩(ヤマ)を終わらせる者(アンタカ)」の意味で、ヒンズー教の死神ヤマ(閻魔)を終わらせる、倒すということで、「大いなる威力を持つ者」という意味の「大威徳明王」と呼ばれるようになりました。

持物

大威徳明王の持物のイラスト

右の2手は剣と如意棒を持ちます。

剣は武器としての剣であり、如意棒は戦いの道具としても使われますが、毘沙門天も持つことがあり、その場合には思い通りの宝物が出てくる法具になります。

左の2手は三叉戟(さんさげき)と法輪を持ちます。

三叉劇は三又になった戦いの道具であり、法輪は真実の法を回し続けます。

全て悪鬼を倒すための法具ですから、戦いの道具と仏法の真髄が詰まった法具の組み合わせを持っているのです。

檀陀印(だんだいん)

大威徳明王が組む印は檀陀印(だんだいん)と呼ばれ、両手を組んで全部の指を内側に折って合掌させてから小指と薬指を絡ませるように折り、中指を立てる印相のことです。

真言

大威徳明王の真言は「オン・シュチリ・キャラロハ・ウン・ケン・ソワカ」

功徳

大威徳明王は悪を退治する強い性格を持った仏ですから、悪に対して立ち向かう時には必ず力を与えて下さいます。