目次
大日如来とは
密教に於いて大日如来は中心的な仏であり、仏の形はしているが宇宙そのものであり、宇宙を動かすエネルギーでもあり、私達の身の回りに偏在している神羅万象全てに宿るものであります。
大日如来は太陽
大日如来は「大きな日」と書くように、読んで字のごとく太陽のことです。私達の住む宇宙の中心であり、如来の心である「広くて明るくて暖かい」要素を全て持ち合わせ、地球上の命を育み、全く見返りを要求しないエネルギーを出し続けているのです。
私達が住んでいるこの地球も、太陽が無ければやがて氷の世界に変わり、生命の息吹の聞こえない世界になってしまうのです。
私達が生きていけるのも太陽のおかげであり、大日如来のおかげなのです。大日如来は太陽であり、太陽のような存在なのです。
仏としての大日如来は只与えるだけで見返りを要求しないことに尽きます。
大日如来との繋がりは、私達が感謝することによって繋がるのですから、只ひたすらに感謝するだけで良いのです。
大日如来は宇宙
大日如来は宇宙そのものでもあります。宇宙は無限のエネルギーを持ち、成長しては滅びることを繰り返しています。宇宙の仕組みは最近では随分と分かるようになってきましたけれど、まだ分からないことだらけで、私達が知ることが出来るのは、ほんの少しの世界のことだけなのです。
その宇宙を動かしている大きなエネルギーが大日如来なのであり、真理とは宇宙に偏在するものであり、大日如来を通してその事実を知ることが出来るのです。
宇宙は私達が想像しているよりも遥かに大きく無限であり、仏教では「三千大千世界」と呼びます。
須弥山を中心とした日・月・四大州・六欲天・梵天などを含む世界を一世界として、一世界が千個集まった世界を小千世界、更に小千世界が千個集まった世界を中千世界とし、更に中千世界が千個集まった世界のことを三千大千世界と言います。
一つの世界がこの宇宙の中では約10億個集まっているというのですから、もう想像を絶するほどの広さであり、私達が住む世界はその中でも針の孔程度の小さな世界なのです。
自然の中にも大日如来
大日如来は宇宙そのものであり、太陽でもあり、私達の身の回りの大自然にも偏在しています。動物にも植物にも、その中で動いている小さな宇宙があり、大きな宇宙へと繋がっていて、もっと言えば私達の体の中にも宇宙があり、大日如来がおられるのです。
私達の体の中の細胞1つにしても科学がどんなに進んでも1から作り出すことは出来ませんし、小さな宇宙があって隣の小宇宙と連携し合う仕組みを持っている、これが実はすごいことなのだけど、そんなことは全く知らなくても普通に生きていけるのです。
しかし、私達の中の小宇宙の鼓動に耳を澄ませて聞いてみた時に、そして真実の姿を垣間見た時に、言いようのない畏れの気持ちが湧き、大日如来の存在に気付くと共に、自らの成すべきことと、生まれて来た理由というものが分かり始めるのです。
大日如来の姿
大日如来は宇宙そのものですから本来は姿はありませんが、仏像では髪を高く結い上げて宝冠を被り、腕にはブレスレッド、装身具などを付けています。
如来としての気高さと太陽にように光り輝く姿を表せば、このような表現しか無いと思います。着飾って贅沢をしている如来ではありません。
十三仏として
十三仏とは人の死後33年間までを案内する仏のことで、死後の世界の裁判官として中国で古来より信仰されていた十王の思想が発展したと言われています。
大日如来は人の死後十三回忌を案内する仏になります。
- [十三仏] [裁判官] [法事] [命日から]
- 不動明王 秦広王(しんこうおう) 初七日 7日目、6日後
- 釈迦如来 初江王(しょこうおう) 二七日 14日目、13日後
- 文殊菩薩 宋帝王(そうていおう) 三七日 21日目、20日後
- 普賢菩薩 五官王( ごかんおう) 四七日 28日目、27日後
- 地蔵菩薩 閻魔王 (えんまおう) 五七日 35日目、34日後
- 弥勒菩薩 変成王 (へんじょうおう) 六七日 42日目、41日後
- 薬師如来 泰山王( たいざんおう) 七七日 49日目、48日後
- 観音菩薩 平等王 (びょうどうおう) 百か日 100日目、99日後
- 勢至菩薩 都市王 (としおう) 一周忌 2年目、1年後
- 阿弥陀如来 五道転輪王(ごどうてんりん) 三回忌 3年目、2年後
- 阿閦如来 蓮華王 (れんげおう) 七回忌 7年目、6年後
- 大日如来 祇園王 (ぎおんおう) 十三回忌 13年目、12年後
- 虚空蔵菩薩 法界王( ほうかいおう) 三十三回忌 33年目、32年後
大日如来の印
大日如来はその働きによって金剛界の大日如来と胎蔵界の大日如来がおられますが、やすらか庵の大日如来は金剛界の大日如来です。
金剛界大日如来
印は「智拳印」(ちけんいん)と言って大日如来の智慧を表す印を組みます。
印の結び方は左手を握りしめて人差し指だけを立て、その人差し指を右手で覆うように握り、この時右手の人差し指と親指で左手の人差し指の頭を押さえます。
胎蔵界大日如来
印…法界定印
手には法界定印を結び、具体的には、おなかの前で左の手のひらを右の手のひらの上にのせ、親指同士を軽くつけて楕円をつくる形をしていて、慈悲の心を表します。
大日如来の真言
やすらか庵では毎朝の勤行で大日如来様のご真言もお唱えいたします。
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金剛界と胎蔵界真言
大日如来の真言(祈りの言葉、マントラ)は金剛界と胎蔵界では違います。
金剛界 オン バザラダト バン
胎蔵界 オン ア ビ ラ ウン ケン
どちらでも使える真言 オン ア ビ ラ ウン ケン バザラダト バン
大日如来様が金剛界か胎蔵界かは、組んでいる印を見ればすぐ分かりますが、分からない時や、自らの勤行として唱える場合には、どちらでも使える真言が便利です。
光明真言は大日如来の真言
光明真言「オン・アボキャ・ベイロシャノウ・マカボダラ・マニ・ハンドマ・ジンバラ・ハラバリタヤ・ウン」は「宇宙を支配される大日如来様、私達の進む道を無量の光で遍く照らして下さいませ」という意味で、大日如来の加護をお願いしている真言なのです。
大日如来の真言を唱えれば大きな力が得られますが、光明真言の場合には祓い清めるという意味合いが大きい真言です。
大日如来の功徳
大日如来は深遠なる究極の悟りの世界であり、宇宙の真理そのものですから、私達の身近な存在ではありませんが、たとえ太陽が遠くにあっても身近に感じる事が出来るのは、その存在が大きいからであり、私達が包まれているからなのです。
しかしながら大日如来の世界が私達一人一人の中に繋がっているのですから、私達は自分たちの仏性に気付けば良いのであって、それが真言密教の即身成仏なのです。
大いなる力を頂ける
悟りの世界にたどり着くことがどんなに困難なことであっても、遠くから見守ってくださっている仏に感謝をすることで、大いなる力を頂く事が出来るのです。
太陽の功徳は地球上の生き物を育み、明るく照らし、温かい世界を作り出していることすが、それは如来の慈悲であって、私達はそれが日常的に当たり前だと思ってしまい、感謝することを忘れています。
私達は如来の広大な慈悲に対して感謝する事です、「いつも有難う御座います」の言葉で感謝の気持ちの表現すれば大自然からの大きな力としての功徳が頂けるのです。
真理の世界
大日如来は宇宙の原理であり、真理でもありますので、何時の時代も変わる事無く、何処にでもある普遍的な法則は釈迦の悟りと同じく、私達に善悪の指標や、真の幸せの姿を示しておられるのです。
私達は常に真理の法則を大日如来から学ぶことを忘れてはいけません。
私達が道を迷ったり、悩んだりしている時に大日如来は正しい方向を示して下さるのです。
正しい判断が出来るようになる
大日如来は真理の姿ですから、迷いというものがありません。
宇宙の原則というものは原因があって結果が出るだけの仕組みであり、そこには嘘も偽りもありません。
大日如来のお力があれば常に正しい判断が出来るようになります。
そして嘘をつかなくてもよくなります。