叫喚地獄とは

飲酒の罪を犯した者が堕ちる地獄で衆合地獄の下にあり、広さは衆合地獄と同じで金ばさみで口をこじ開けられ、熱でドロドロに溶けた銅を流し込まれ、衆合地獄の10倍の苦しみがあります。
地獄の構造と叫喚地獄

私達は生前の行いの善悪に応じて六道と言われる地獄・餓鬼・畜生・阿修羅・人間・天界の六つの世界を生まれ変わり死に変わりしていることを輪廻転生と言います。
私達の生前中の善行と悪行の行いは死後に閻魔大王によって裁かれた結果として六道の行き先が決まるとされ、殺生などの悪行を犯した者は六道の中でも一番下の世界である地獄に堕とされて、苦しみの罰を受けることになります。
上から下まで8つの地獄が段階的にあって八大地獄と言われ、下から順に阿鼻地獄・大焦熱地獄・焦熱地獄・大叫喚地獄・叫喚地獄・衆合地獄・黒縄地獄・等活地獄と呼ばれ、下に行くほど受ける苦しみの度合いが大きくなり、生前中の罪の深さや積み重ねによって堕ちる場所が違ってきます。
私達の生前中の全ての行動は善行と悪行に分けられて秤にかけられ、秤の針の動き方によって行き先が決められるのです。
八大地獄の中でも叫喚地獄は上から4番目にあって受ける苦しみは上から3番目の衆合地獄で受ける苦しみの10倍になります。
不飲酒戒

不殺生戒(ふせっしょうかい)…生き物を故意に殺してはならない
不偸盗戒(ふちゅうとうかい)…他人のものを盗んではいけない
不邪婬戒(ふじゃいんかい)…不道徳な性行為を行ってはならない
不妄語戒(ふもうごかい) …嘘をついてはいけない
不飲酒戒(ふおんじゅかい)…酒を飲んではならない
殺生や偸盗は罪の中でも重たい罪ですから戒の上位に来ていて、一番最後にある不飲酒戒の位置付けとしては低くなっていますので、罪としては軽いということなのですが、飲酒は仏道の修行をしていく上で邪魔をするからです。
仏教と飲酒

お酒に含まれるアルコールは気分をリラックスさせる効果があることと、宗教的な幻想体験に似た体験が得られることなどから、お酒は有史以来利用されてきたという長い歴史があります。
また神に捧げるための供物としても扱われ、供物の中でも上等の部類に属します。
神道では米、酒、塩が定番の御供え物になります。
仏教ではこの世の真実の姿を観るための修行をするためには、あらゆる欲望を断ち、心の寂静を目指しますので、お酒というものは心の寂静を乱して真実の世界を観ることが出来なくなるから止めなさいと説くのです。
そしてお酒は飲みすぎますと気持ちが大きくなって嘘をついたり、言い争いになって喧嘩をしたり、善悪の正しい判断が出来なくなって悪事を働いたりすることにも繋がるのです。
別地獄について

叫喚地獄の四門の外には罪状に応じて更に十六の別地獄があり、「正法念処経」によれば
大吼処(だいくしょ)
心身を清める斎戒を行っている人に酒を与えた者が堕ちる地獄。
極卒から溶けた白蝋を無理矢理飲ませられる。
普声処(ふしょうしょ)
修行中に気が緩んで酒を飲んだ者、受戒したばかりの人に酒を飲ませた者が堕ちる地獄。
獄卒に鉄の杵で打たれて苦しめられる。
髪火流処(はっかるしょ)
五戒を守っている人に酒を与えて戒を破らせた者が堕ちる地獄。
熱鉄の犬が罪人の足に噛み付き、鉄のくちばしを持った鷲が頭蓋骨に穴を開けて脳髄を飲み、狐たちが内臓を食い尽くす。
火末虫処(かまつちゅうしょ)
水で薄めた酒を売って大儲けした者たちが堕ちる地獄。
罪人の身体から無数の虫が湧き出し肉や骨を食い破る。
熱鉄火杵処(ねつてっかしょしょ)
鳥や獣に酒を与えて、酔わせた後に捕らえて殺した者が堕ちる地獄。
獄卒が振り下ろす鉄の杵で追い回され、捕まると砂のごとく細かく砕かれる。
雨炎火石処(うえんかせきしょ)
旅人に酒で酔わせて財産を奪った者、象に酒を飲ませて暴れさせ、多くの人々を殺した者などが堕ちる地獄。
赤く焼けて炎を発する石の雨が罪人たちを撃ち殺す。
また、溶けた銅とハンダと血が混ざった河が流れており、罪人たちを押し流しながら焼く。
全身から炎を発して燃え盛る巨大象がいて罪人を押しつぶす。
殺殺処(せつせつしょ)
貞淑な婦人に酒を飲ませて酔わせて関係した者が堕ちる地獄。
獄卒たちが熱鉄の鉤で罪人の男根を引き抜くが、抜かれるたびに再生し、同じことが繰り返される。
罪人が逃げ出すと、今度は烏、鷲、鳶の大群に食い尽くされる。
鉄林曠野処(てつりんこうやしょ)
酒に毒薬を混ぜて人に与えた者が堕ちる地獄。
燃え盛る鉄の車輪に縛り付けられ、回転させたところを的当てのごとく弓で射られる。
普闇処(ふあんしょ)
酒を売る仕事をしながら、人の無知に付け込んで、少しの酒を高価な値段で売った者が堕ちる地獄。
真っ暗闇の中で獄卒に散々に打たれ、その後炎の中で頭から二つに引き裂かれる。
閻魔羅遮曠野処(えんまらこうやしょ)
病人や妊婦に酒を与えて、彼らの財産や飲食物を奪った者が堕ちる地獄。
罪人は足から順に頭まで燃えていき、その上で獄卒に鉄刀で足から順に頭まで切り刺される。
剣林処(けんりんしょ)
荒野を旅する人をだまして泥酔させ、持ち物や命を奪った者が堕ちる地獄。
燃え盛る石の雨、沸騰した血と銅汁と白蝋の河がある中で、獄卒に刀や殻竿で打たれる。
大剣林処(だいけんりんしょ)
人里離れた荒野の街道で酒を売った者が堕ちる地獄。
高さ1由旬の剣樹の林があり、獄卒にそこへ追い立てられる。
剣樹の幹は炎に包まれ、葉は鋭い刃になっており、揺れるたびに無数に落下して下のものを切り裂く。
芭蕉烟林処(ばしょうえんりんしょ)
貞淑な婦人に密かに酒を飲ませていたずらしようとした者が堕ちる地獄。
煙が充満していて前が見えず、床は熱した鉄板になっていて焼かれる。
煙火林処(えんかりんしょ)
悪人に酒を与えて、憎む相手に復讐させた者が堕ちる地獄。
熱風に吹き上げられ、他の罪人と空中でぶつかり合いながら砂のように砕けてしまう。
火雲霧処(かうんむしょ)
他人に酒を飲ませて酔わせ、物笑いにした者たちが堕ちる地獄。
地面から吹き上がる炎の熱風で舞い上げられ、空中で回転し、縄のようにねじれ、ついには消滅してしまう。
分別苦処(ふんべつくしょ)
使用人に酒を与えて勇気付け、動物を殺生させた者が堕ちる地獄。
獄卒が様々な苦しみを与えた上で、説教して反省させる。






