地獄の釜の蓋が開く日とは

地獄の窯の蓋

正月お盆の16日は閻魔賽日(えんまさいじつ)と呼ばれて閻魔大王の縁日なので地獄の窯の蓋が開き地獄の鬼も罪人も休んでよい日とされ、地獄の罪人でさえ故郷の家に帰ることを許される日です。

薮入り(やぶいり)

奉公

江戸時代には商家などに住み込みで働いている奉公人や嫁いだ女性達は一年中休むこと無しに働いていたのですが、藪入りと言って一年に二回だけ、正月とお盆には実家に帰ることが許されていましたので、数少ない休日を楽しんでいたのです。

薮入りの日には奉公先の主人は奉公人に手土産や小遣い銭を渡して実家に送り出し、実家では帰ってくる子供のために御馳走を作って楽しみに待っていたそうです。

閻魔賽日(えんまさいじつ)

閻魔大王

地獄の裁判官である閻魔大王の縁日は毎月16日であり、その中でも大きな縁日の1月16日と7月16日は閻魔賽日(えんまさいじつ)と呼ばれて閻魔大王も鬼も休みの日とされ、閻魔大王でさえ休む日だから奉公人も休ませようというのが藪入りの由来であるとも言われています。

祖霊信仰

月夜のお墓に火の玉のイラスト

正月とお盆は御先祖様が家に帰ってくる日でもあり、先祖を迎えてもてなします。

地獄は仏教では生前中に大きな罪を犯した者が死後に堕ちる所であり、火であぶられる、鍋で煮られるなどの責め苦を伴いますが、我が国の祖霊信仰では地面の下の黄泉の国のことを指すこともあり、正月とお盆の頃には黄泉の国の扉が開いて家に帰ってくる御先祖様をもてなします。

蓋を開けること

天岩戸神話のイラスト

お墓の竿石が天に向かってそびえ立ち家の名前が彫ってあるのは御先祖様が天から降りてくる依り代としての目印であり、御先祖様は正月とお盆に帰ってくるという信仰があります。

お墓に蓋があるのは死者の国である黄泉の国の入り口の扉であり、普段は黄泉の国の扉が開かれることはありませんが、正月とお盆には黄泉の国の扉が開かれて御先祖様が帰ってくるという信仰もあります。

私達の世界と死者の国は繋がっているけれど蓋や扉で遮断されていますが、御先祖様は遠く離れていても私達の事を守ってくれていますので、御先祖様に対する感謝の気持ちを表すために年に二回、正月とお盆の死者の国の扉が開かれる日に、御先祖様を丁寧におもてなしするのが地獄の釜の蓋が開く日と重なっているのではないでしょうか。

たとえ地獄で責苦にあっている人でさえ、休みが取れて懐かしの家に帰ることが出来るのですから、どんなに嬉しいことでしょう。

地獄は罪人が罪の重さに応じた責苦を受ける場でありますが、功徳を積み、魂を浄化して上の世界に上がっていくチャンスがある場でもあります。

悪いことをした人の罪が消えることはありませんが、功徳を積むことによって相対的に上の世界に上がっていくのです。