四国八十八箇所霊場とは

四国八十八箇所霊場

四国八十八箇所霊場とは四国にある弘法大師空海ゆかりの寺院のことで、八十八の寺院を順番に回ることで旅の気分を楽しみながら自らの修行として車や徒歩、自転車などで巡礼すること。

八十八とは

八十八箇所霊場の八十八という数字は今では四国霊場の代名詞ともなる数字ですが、この数字に関してのはっきりとした根拠はありません。

八十八の煩悩を消滅するため、「米」の字を分解すれば八十八になる、などの理由が言われていますが、そもそもこの霊場自体が弘法大師空海の足跡をたどるゆかりのある場所ということなので、四国の中で弘法大師の伝説が残っているなどの大師にゆかりのある寺院を集めてみたらその程度の数字になったということでしょうか。

八十八は大変に語呂が良いことから自然にそうならざるを得なかったということで、「弘法大師ゆかりの霊場」よりも「八十八箇所霊場」の方が結束力が強く、スタートとゴールがはっきりと見えることで都合が良かったのだと思います。

四国八十八箇所霊場の歴史

瀬戸大橋のイラスト

四国は今の時代でこそ3つの橋がかかり、陸続きと同じ感覚で繋がっていますが、橋が架かる前には船で行くしか他に方法の無い陸の孤島だったことを思えば、平安時代には都から遠く離れた四国の地は「辺地」(へじ)と呼ばれて辺境の地とされましたが、それが故に山あり海ありの絶好の修行の場であり、若き日の空海も各地で修行したことを思えば、讃岐国に生まれた空海の修行の場所として現代にまで伝わっていることが納得できます。

空海が42歳の時に四国霊場を開創したとされますが、史実ではなく今の形の遍路が出来たのは江戸時代になってからとされ、以後も八十八の寺院が選定されるにあたっての紆余曲折を経ていますので、番外寺院が存在します。

八十八の霊場は県別に「発心の道場」「修行の道場」「菩提の道場」「涅槃の道場」に分けられて、巡礼しながら宗教的な境地を高めていくようになっています。

四国八十八箇所霊場で自分探しの旅に出よう

経帷子

四国八十八箇所霊場を自分探しの旅として廻っている人が数多く居られます。

生きる目的が分からない、何をしたら良いのか分からない、今は絶望の淵に居るなどの方が生きることや自分の使命を探しに行くにはちょうど良い旅になります。

お寺巡りですから寺院を巡りながら懺悔をしても良し、願いごとをしても構いません。

悪いことをしたと思ったら罪滅ぼしの懺悔の旅でも構わないのです。

私も30年ほど前にはなりますが、八十八箇所霊場を車中泊しながら車で1週間かけて廻りましたが、大自然の中でのあまりにも小さな自分の存在に気付き、お大師様の修行の厳しさに触れ、大切なことを教えて頂いたような気がしました。

旅というものは楽しむものですが、時には大自然の雄大さに触れて感動してみては如何ですか。

山伏の修験道は山の中を歩きながら大自然の中に居る神々の力を受ける力を養います。

元々私達が生まれながらに持っていた大自然の声を聞く能力を、心を汚すことによって失っていったのですから、失った能力を取り戻し、心を研ぎ澄ます修行の旅なのです。

お大師様も付いてきてくださるからこそ有難い「同行二人」なのです。

人生は旅

開経偈のイラスト

仏教の世界では私達の魂は果てしなく長い旅を続けていると説きます。

真言宗のお勤めである勤行の最初に唱えられる「開経偈」は

無上甚深微妙法 [むじょうじんじん みみょうほう]
百千万劫難遭遇 [ひゃくせんまんごう なんそうぐう]
我今見聞得受持 [がこんけんもん とくじゅじ]
願解如来真実義 [がんげにょらい しんじつぎ]

と唱えますが、私達が仏法に巡り合えるということは非常にあり得ない事であり、出会った時にこそ真実を解き明かすチャンスがやっと与えられたのだから、このチャンスを逃してはならないと説いているのです。

永遠に近いような長い生まれ変わりの中で私達は今ここにたどり着き、修行できるチャンスがあるのなら、人生は元々旅の途中であるのだから、修行の旅に出れば新たな道が開けてくるはずです。

阿波「発心の道場」

徳島県の八十八箇所霊場地図

徳島県にある1~23番の寺院です。

発心の道場とは仏道に入門して仏教に帰依し、仏の道を歩むという心を持ち、俗世間の迷いを断って白い衣に身を包み、身と心を清めて新たに歩き出すという道場のことです。

仏門のイラスト

数多くの遍路を経験した人であっても初心に帰り気持ちを新たにする道場です。

1.霊山寺(りょうぜんじ) 高野山真言宗 釈迦如来 鳴門市
2.極楽寺(ごくらくじ) 高野山真言宗 阿弥陀如来 鳴門市
3.金泉寺(こんせんじ) 高野山真言宗 釈迦如来 板野町
4.大日寺(だいにちじ) 東寺真言宗 大日如来 板野町
5.地蔵寺(じぞうじ) 真言宗御室派 勝軍地蔵菩薩 板野町
6.安楽寺(あんらくじ) 高野山真言宗 薬師如来 上板町
7.十楽寺(じゅうらくじ) 真言宗単立 阿弥陀如来 阿波市
8.熊谷寺(くまだにじ) 高野山真言宗 千手観音菩薩 阿波市
9.法輪寺(ほうりんじ) 高野山真言宗 涅槃釈迦如来 阿波市
10.切幡寺(きりはたじ) 高野山真言宗 千手観音菩薩 阿波市
11.藤井寺(ふじいでら) 臨済宗妙心寺派 薬師如来 吉野川市
12.焼山寺(しょうさんじ) 高野山真言宗 虚空蔵菩薩 神山町
13.大日寺(だいにちじ) 真言宗大覚寺派 十一面観音菩薩 徳島市
14.常楽寺(じょうらくじ) 高野山真言宗 弥勒菩薩 徳島市
15.国分寺(こくぶんじ) 曹洞宗 薬師如来 徳島市
16.観音寺(かんおんじ) 高野山真言宗 千手観音菩薩 徳島市
17.井戸寺(いどじ) 真言宗善通寺派 七仏薬師如来 徳島市
18.恩山寺(おんざんじ) 高野山真言宗 薬師如来 小松島市
19.立江寺(たつえじ) 高野山真言宗 延命地蔵菩薩 小松島市
20.鶴林寺(かくりんじ) 高野山真言宗 地蔵菩薩 勝浦町
21.太龍寺(たいりゅうじ) 高野山真言宗 虚空蔵菩薩 阿南市
22.平等寺(びょうどうじ) 高野山真言宗 薬師如来 阿南市
23.薬王寺(やくおうじ) 高野山真言宗 薬師如来 美波町

土佐「修行の道場」

高知県の八十八箇所霊場地図

高知県にある24~39番までの寺院です。

発心の道場の次には修行の道場で、日々が修行だという意識を持ち、身と体を清めて魂を磨く修行に入ります。

弘法大師空海は室戸岬の洞窟で虚空蔵求聞持法の厳しい修行を成満したことを思い、大自然や宇宙の力を感じながら一つ一つの寺院を修行の道場として巡ります。

虚空蔵求聞持法

人から受けた接待やもてなしに感謝し、心の修行を積んでいきます。

24.最御崎寺(ほつみさきじ) 真言宗豊山派 虚空蔵菩薩 室戸市
25.津照寺(しんしょうじ) 真言宗豊山派 延命地蔵菩薩 室戸市
26.金剛頂寺(こんごうちょうじ) 真言宗豊山派 薬師如来 室戸市
27.神峯寺(こうのみねじ) 真言宗豊山派 十一面観音菩薩 安田町
28.大日寺(だいにちじ) 真言宗智山派 大日如来 香南市
29.国分寺(こくぶんじ) 真言宗智山派 千手観音菩薩 南国市
30.善楽寺(ぜんらく) 真言宗豊山派 阿弥陀如来 高知市
31.竹林寺(ちくりんじ) 真言宗智山派 文珠菩薩 高知市
32.禅師峰寺(ぜんじぶじ) 真言宗豊山派 十一面観音菩薩 南国市
33.雪蹊寺(せっけいじ) 臨済宗妙心寺派 薬師如来 高知市
34.種間寺(たねまじ) 真言宗豊山派 薬師如来 高知市
35.清瀧寺(きよたきじ) 真言宗豊山派 薬師如来 土佐市
36.青龍寺(しょうりゅうじ) 真言宗豊山派 波切不動明王 土佐市
37.岩本寺(いわもとじ) 真言宗智山派 五仏 四万十町
38.金剛福寺(こんごうふくじ) 真言宗豊山派 三面千手観音菩薩 土佐清水市
39.延光寺)えんこうじ) 真言宗智山派 薬師如来 宿毛市

伊予「菩提の道場」

愛媛県の八十八箇所霊場地図

愛媛県にある40~65番の寺院です。

菩提とは悟りであり、修行の結果として導かれるものです。

同行二人

四国の霊場を巡る人の笠や経帷子にはよく「同行二人」と書かれていますが、これは自分一人だけで歩いているのではなくて、すぐ傍にお大師さんが一緒に歩いていくれるのだということで、そういったことが分ってくるのが菩提の道場です。

40.観自在寺(かんじざいじ)真言宗大覚寺派 薬師如来 愛南町
41.龍光寺(りゅうこうじ)真言宗御室派 十一面観音菩薩 宇和島市
42.佛木寺(ぶつもくじ) 真言宗御室派 大日如来 宇和島市
43.明石寺(めいせきじ) 天台寺門宗 千手観音菩薩 西予市
44.大寶寺(だいほうじ) 真言宗豊山派 十一面観音菩薩 久万高原町
45.岩屋寺(いわやじ) 真言宗豊山派 不動明王 久万高原町
46.浄瑠璃寺(じょうるりじ) 真言宗豊山派 薬師如来 松山市
47.八坂寺(やさかじ) 真言宗醍醐派 阿弥陀如来 松山市
48.西林寺(さいりんじ) 真言宗豊山派 十一面観音菩薩 松山市
49.浄土寺(じょうどじ) 真言宗豊山派 釈迦如来 松山市
50.繁多寺(はんたじ) 真言宗豊山派 薬師如来 松山市
51.石手寺(いしてじ) 真言宗豊山派 薬師如来 松山市
52.太山寺(たいさんじ) 真言宗智山派 十一面観音菩薩 松山市
53.圓明寺(えんみょうじ) 真言宗智山派 阿弥陀如来 松山市
54.延命寺(えんめいじ) 真言宗豊山派 不動明王 今治市
55.南光坊(なんこうぼう) 真言宗御室派 大通智勝如来 今治市
56.泰山寺(たいさんじ) 真言宗醍醐派 地蔵菩薩 今治市
57.栄福寺(えいふくじ) 高野山真言宗 阿弥陀如来 今治市
58.仙遊寺(せんゆうじ) 高野山真言宗 千手観音菩薩 今治市
59.国分寺(こくぶんじ) 真言律宗 薬師如来 今治市
60.横峰寺(よこみねじ) 真言宗御室派 大日如来 西条市
61.香園寺(こうおんじ) 真言宗御室派 大日如来 西条市
62.宝寿寺(ほうじゅじ) 真言宗善通寺派 十一面観音菩薩 西条市
63.吉祥寺(きちじょうじ) 真言宗東寺派 毘沙聞天 西条市
64.前神寺(まえがみじ) 真言宗石鈇派 阿弥陀如来 西条市
65.三角寺(さんかくじ) 高野山真言宗 十一面観音菩薩 四国中央市

讃岐「涅槃の道場」

香川県の八十八箇所霊場地図

香川県にある66~88番の寺院です。

涅槃とは悟りを得たものが入る世界のことで、生死や輪廻転生を越えた安楽の世界のこと。

釈迦入滅してこの世を去る時に涅槃になりました。

涅槃のイラスト

人には必ず死が訪れるのだから、その時のことをよく思い、悪い世界に行かぬよう、涅槃の世界に到達できるように更なる修行を重ねるための道場なのです。

66.雲辺寺(うんぺんじ) 真言宗御室派 千手観世音菩薩 三好市
67.大興寺(だいこうじ) 真言宗善通寺派 薬師如来 三豊市
68.神恵院(じんねいん) 真言宗大覚寺派 阿弥陀如来 観音寺市
69.観音寺(かんのんじ) 真言宗大覚寺派 聖観音菩薩 観音寺市
70.本山寺(もとやまじ) 高野山真言宗 馬頭観音菩薩 三豊市
71.弥谷寺(いやだにじ) 真言宗善通寺派 千手観音菩薩 三豊市
72.曼荼羅寺(まんだらじ) 真言宗善通寺派 大日如来 善通寺市
73.出釈迦寺(しゅっしゃかじ) 真言宗御室派 釈迦如来 善通寺市
74.甲山寺(こうやまじ) 真言宗善通寺派 薬師如来 善通寺市
75.善通寺(ぜんつうじ) 真言宗善通寺派 薬師如来 善通寺市
76.金倉寺(こんぞうじ) 天台寺門宗 薬師如来 善通寺市
77.道隆寺(どうりゅうじ) 真言宗醍醐派 薬師如来 多度津町
78.郷照寺(ごうしょうじ) 時宗 阿弥陀如来 宇多津町
79.天皇寺(てんのうじ) 真言宗御室派 十一面観音菩薩 坂出市
80.國分寺(こくぶんじ) 真言宗御室派 十一面千手観音菩薩 高松市
81.白峯寺(しろみねじ) 真言宗御室派 千手観音菩薩 坂出市
82.根香寺(ねごろじ) 天台宗単立 千手観音菩薩 高松市
83.一宮寺(いちのみやじ) 真言宗御室派 聖観音菩薩 高松市
84.屋島寺(やしまじ) 真言宗御室派 十一面千手観音菩薩 高松市
85.八栗寺(やくりじ) 真言宗大覚寺派 聖観音菩薩 高松市
86.志度寺(しどじ) 真言宗善通寺派 十一面観音菩薩 さぬき市
87.長尾寺(ながおじ) 天台宗 聖観音菩薩 さぬき市
88.大窪寺(おおくぼじ) 真言宗単立 薬師如来 さぬき市